3つの飲み物を注ぎ分けられる「暗殺者のティーポット」
3つの飲み物を注ぎ分けられる「暗殺者のティーポット」 / Credit: Steve Mould/youtube(2021)
science

毒入りドリンクを注ぎ分けられる「暗殺ティーポット」のトリックを解説

2021.12.20 Monday

ここに一つのティーポットがあります。

中に入った飲み物を自分用と相手用に注ぎ分けます。

それを互いに飲み干したところ、自分は何の問題もありませんでしたが、相手だけが毒死しました。

コップには何の仕掛けもしていません。

さて、なぜでしょうか?

その答えは、この不気味なティーポットに隠されています。

これは「暗殺者のティーポット(Assassin’s Teapot)」と呼ばれる一品で、中国で生まれたものです。

同じ注ぎ口から、違う種類の飲み物を注ぎ分けられるので、相手にだけ毒入りドリンクを飲ませられるという。

一体、どんなトリックが使われているのか、以下で見ていきましょう。

This Is How the Assassin’s Teapot Works https://interestingengineering.com/video/how-the-assassins-teapot-works?utm_source=rss&utm_medium=video&utm_content=12122021 The Assassin’s Teapot Is Weird(YouTube) https://www.youtube.com/watch?v=jJL0XoNBaac&t=9s

「暗殺ティーポット」の中身はどうなってる?

暗殺者のティーポット
暗殺者のティーポット / Credit: grand-illusions

暗殺者のティーポットは、一つで3種類の異なる飲み物を注ぎ分けることができます。

このように。

画像

の違いが、別々の飲み物であることを物語っていますね。

ただ、相手にを盛りたいのなら、同じ色のドリンクを用意しなければなりません。(もちろん、実践は禁物ですが)

なぜ同じポットで、異なる飲み物を注ぎ分けられるのか、とても不思議です。

注ぐ角度が重要なのか、暗殺者の訓練を積み重ねて初めて得られる技術が必要なのか。

いいえ、実はこのティーポットさえ使えば、誰でも簡単に暗殺者になれるのです。(もちろん、なってはいけませんが)

トリックはしごく簡単で、ティーポットの取手の上下に一つずつ穴が空いています。

取手の下に空いている穴(上も同様)

下の画像に沿って説明しますと、取手の下の穴を押さえれば、青色のドリンクが出て、上の穴を押さえれば、黄色のドリンクが出ます。

どちらの穴も押さえなければ、緑色のドリンクが出ます。

ちなみに、両方の穴を押さえると、ドリンクは出てきません。

画像

画像

画像

注ぎ分けの方法は分かったので、今度はポットの中がどうなっているのか、見てみましょう。

ポットを割ってみると、中は右と左の2つのコンパートメントに分かれています。

そのどちらも注ぎ口につながっており、加えて、左側のコンパートメントは取手の下の穴と、右側のコンパートメントは取手の上の穴とつながっています。

中は2つのコンパートメントに分かれている

では、分かりやすいようにポットの中をすかした状態で見てみましょう。

下の穴を押さえると、青色のドリンクが出ているのが分かります。

押さえる穴の位置で、注ぎ分けをコントロール

黄色のドリンクは、先ほど説明したように、上の穴を押さえます。

そして、緑のドリンクはというと、どちらの穴も押さえないので、青と黄の両方が出てきて混ざり、緑色になっていたのです。

もし青色のドリンクに毒が仕込んであったとしたら、青と緑はアウト、黄色だけがセーフとなります。

これに少しアレンジを加えて、一方にコーヒーを、一方にホットミルクを入れておけば、コーヒー・ホットミルク・カフェオレの3種類が、一つのポットで注ぎ分けられます。

ホットミルクとコーヒーを入れておけば、カフェオレも作れる

それでは、穴を押さえると、なぜドリンクは出てこなくなるのでしょうか。

これはちょっとした物理学のおかげです。

それを次に見ていきましょう。

次ページ注ぎ分けを可能にする物理的メカニズム

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