日本の少子化は男性の低学歴・低収入と関連していた
2020年に日本で生まれた子供の数は約84万人でした。
これは1899年に統計が開始されて以来、最低の数字です。
これまでにもさまざまな対策が取られてきましたが、合計特殊出生率は1.3前後を推移しており、解決には至っていません。
先行研究によって、少子化の原因(低収入化・雇用形態の変化・産後復帰の難しさ)はいくつか指摘されています。
しかしこれらを証明する十分な研究はなされていません。
そこでチームは、出生動向基本調査を用いて、所得・教育・年齢を中心に、日本の子供の数がどのように変化しているのか分析することにしました。
このデータ分析では、1943-1975年生まれ(現在47-79歳)の人が対象になり、40代の時点での子供の数が比較されました。
その結果、子供を持たない人の数が、男女ともに過去30年の間に3倍近く増えていたと判明。
また男性では、年代に関係なく、高学歴・高収入であるほど、子供を持つ割合が多いと分かりました。
さらに、高収入な男性は子供を3人以上持っている割合も多いという結果に。
ちなみに正規雇用の女性は、そうでない女性に比べて子供を持っている割合が少ないことも分かっています。
女性の場合は、雇用や育児の形態が大きく関係するのでしょう。
さて今回の結果を考えると、社会経済環境の果たす枠割の大きさを改めて認識できます。
近年の若年層での雇用の不安定化、それに伴う低収入化が、少子化に大きな影響を与えていることは明らかなようです。
多くの人が予想していた結果が、データ分析ではっきりと示されたことになりますね。
ますます深刻化する少子化を食い止めるには、社会環境の大規模な調整が必要なのかもしれません。