- ストレスにさらされたマウスは毛が白くなったが、それは色素の過剰放出と枯渇が原因だった
- ストレスによるマウスの白髪化は回復不可能だが、白髪化自体を防止することは可能
フランス革命中に捕らわれた女王マリー・アントワネットの髪は、真っ白になったと言われています。
「強いストレスによって白髪になる」ことは一般的に広く知られていますが、これまで科学的な根拠は見出せないままでした。
しかし、ハーバード大学の科学者によって、ストレスによって白髪を増えるメカニズムが解明されました。研究によると、ストレスによって色素を過剰分泌し、枯渇してしまうことが原因のようです。
研究の詳細は「Nature」誌に掲載されました。
https://www.nature.com/articles/s41586-020-1935-3
ストレスによる白髪のメカニズム
人間が若白髪になるように、マウスの体毛も年齢に関係なく白くなります。「ストレスと白髪化の関係性」を調べるために、マウス実験が行われました。
この実験では、マウスをストレス(痛み、拘束、心理的ストレス)にさらすことで白毛化を誘発し、その際の体内変化が観察されました。
実験の結果、ストレスと白毛化の因果関係が認められ、それに至るメカニズムが明らかになりました。
マウスに強いストレスがかかると、交感神経系がノルアドレナリンと呼ばれる化学物質を放出するようになります。通常、この働きによって血圧が上昇したり心拍数が上がったりし、体をストレスに対応できるようにします。
ノルアドレナリンは、色素幹細胞に作用することも分かりました。色素幹細胞は毛に色を与えるための役割を担っています。
今回の実験で、強いストレスが加わり続けることで色素幹細胞が過剰に反応し、色素を放出し続けることが判明しました。最終的に貯蔵庫の色素幹細胞が枯渇してしまい、毛に着色できなくなってしまうのです。