- BCGワクチンの接種は新型コロナウイルスに免疫を与えるかもしれない
- 原種に近い菌から作られた日本のBCGは特に強い免疫になる
この研究には疑義を呈する論文がいくつか提出されています。詳しくはこちら。
4月4日、佐藤潤氏というブロガーが運営するブログにて、BCG(結核菌ワクチン)を接種している国では、新型コロナウイルスの死亡率が低い傾向にあることが示されました。
そこで今回、日本の研究者が本格的な統計分析を行ったところ、特定のBCG種は新型コロナウイルスの死亡率を有意に下げている可能性が示唆されました。
欧米で爆発的な感染が起きている一方で、日本での感染速度が比較的穏やかな原因が、国民が接種しているBCGの違いによる可能性があるとのこと。
さらに研究では、子供が新型コロナウイルスに罹りにくい理由が、BCGの有効期限(10~15年)の影響を受けている可能性も指摘されています。
しかし、どうして結核菌に対するワクチン「BCG」が、新型コロナウイルスの感染を防いだのでしょうか?
研究結果は藤田医科大学の宮川剛氏らによってまとめられ、4月6日にエール大学が運営する論文のプレプリントサーバー「medRxiv」にて先行して配信されました。
https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.03.30.20048165v1
BCGを接種している国では死亡率が低い
ブロガーによるBCGと新型コロナウイルスによる死亡率の相関性にかかわる報告は、非常に素晴らしい発見でした。
しかし医療体制が異なる国を単純に比較することはできません。
特に平均寿命が短い国では、基本的な医療水準も低いと推測され、そのような場合、死亡率はBCGではなく、貧しさや医療水準に依存する可能性があるからです。
また季節性インフルエンザをはじめ、ウイルスの広がりは、気温の影響を受けることが知られています。
そこで宮川氏は統計的な手法を用いて、平均寿命と気温の要因の影響度を測定したうえで再度、BCGと新型コロナウイルスによる死亡率の相関性を比較しました。
結果、健康や気候の要因を差し引いても、BCGの接種は、新型コロナウイルスによる死亡率を大きく下げることが判明しました。
感染が爆発的に増加している欧米では、日本とは異なりBCGの接種がかなり少ないことが知られています。