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スクロールすると深海にどんどん潜れるサイト「The Deep Sea」は時間が溶ける面白さ

2021.01.28 Thursday

2020.05.30 Saturday

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Credit:neal.fun
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  • 深海に潜って深海生物を見つけるサイトが作成される
  • 有名なオオグソクムシは深海2000m付近に存在。海はこの深さの2~5倍深い
  • 1960年、潜水艦トリエステ号は海の最深部10911mに到達した

海は私たちの想像以上に深く、多くの不思議で満ちています。深く潜れば潜るほど環境は厳しくなっていき、光は届かず、低酸素・低水温・高水圧が待ち受けています。

それゆえ深海生物たちは独自の生態系を培っており、表層の海洋生物とは見た目も特徴も全く異なっています。

深海生物を求めて「潜水艦で深海を探索したい!」という人は多いでしょう。

クリエイティブ・コーダーであるニール・アガルワル氏はウェブ上で深海を探索できる「The Deep Sea」というサイトを作成しました。画面をスクロールしていくことで深く潜ることができ、深さに応じた深海生物と出会えるでしょう。

スクロールで潜る「The Deep Sea」

水深0~200m

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Credit:neal.fun

水深20mくらいだとサーモン、マナティー、シロクマが生息。

私たちに馴染み深い生物ばかりですね。

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シャチやオキスズキ、オニカマスなどは水深100m前後に生息。

まだまだ一般的な生物ばかりですが、この段階で既に「100m走分の距離を潜っている」ので、深海までの「果てしない距離」を感じますね。

水深200m~1000m トワイライトゾーン

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薄光層とも呼ばれ、光が届くギリギリの水深を指します。海面と深海の狭間であり、謎に包まれた多くの生物が存在。

このあたりから、いかにも「深海らしい」生物が増えてきます。

テリブルクロウロブスター、ヒメウミガメ、ホオジロザメは水深300mあたりに生息。

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ちなみに、人間がスキューバダイビングで到達した最深部は332mになります。

クリオネはさらに深い水深500m付近に生息。

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水深700mまで潜ったところでシーラカンス、タラバガニに出会いました。

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「タラバガニってこんなに深いところに生息してたんだ…」

蟹料理への感謝が深まったところで、新たなゾーンへと突入しましょう。

水深1000m~4000m ミッドナイトゾーン

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深海です。漸深層(bathyal zone)と呼ばれ、日光は届きません。多くの生物は自身で光を生成することで対処しています。

アンコウは水深1000mあたりに生息しています。

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チョウチンアンコウのアンテナは背びれが変化したものであり、先端の光っている膨らみは「エスカ(擬餌状体)」と呼ばれます。

エスカ自体はバクテリアの培養室として機能しており、ここで発光バクテリアと共生することで光を得ているのです。

さて、ここまでくると、希少で有名な生物たちに出会う頻度が大きくなるでしょう。

例えば、一角は1日15回、エサを求めて水深1800mまで潜っています。

また、オオグソクムシも水深2100mあたりに生息しています。

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オオグソクムシは、餌をほとんど食べなくとも生存できる生物として有名であり、実際に飼育下のオオグソクムシは5年間絶食したまま生き延びました。

深海生物として有名なオオグソクムシですが、最も深い海(10000m)と比べるとまだまだ浅瀬に生息しているようにも感じてきました。海は本当に底知れないですね。

更に潜っていき、水深3000m付近ではゾンビワーム、ヘッドレスチキンフィッシュなどに出会えます。

また、この領域ではアカボウクジラと出会うことがあります。アカボウクジラは最も深く潜る哺乳類として知られています。

肺呼吸の生物が3000mも潜るなんて驚きです。こうした事実も深海を探索してこそ発見できるのでしょう。

さて、水深3700mに到達しました。これは世界の海の深さの平均です。平均的な海って富士山くらいの深さなのですね。驚きです。

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1912年4月14日、タイタニック号は水深3800mまで沈んでいきました。

水深4000m~6000m アビサルゾーン

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深海帯と呼ばれる部分であり、深海低層とも表現されます。「abyss:深淵」の名前の通り、闇に包まれた場所です。

水温は氷点下に近く、極度の圧力に耐えられる生物はほとんど存在しません。

生物に出会うことが少なくなってきましたが、まだカムリクラゲ、センジュナマコなどの奇妙な生物と出会えます。

メガマウスは水深4600mにおり、最も大きなサメの一種です。その体長は7mに達することもあるとのこと。

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また、5000mには顔の無い魚「タイフロナス・ナスース」が生息しています。

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実はこの魚、顔が無いように見える「だけ」であって、実際には皮膚の下に目が存在しており、口もしっかりと頭部の下についています。

しかしながら、光が存在しない深海でこの目がどれほど役立っているのかは現時点ではっきりと分かってません。

水深6000m~10000m ヘイダルゾーン

超深海層とも呼ばれる領域です。ヘイダルゾーンに到達した人よりも月に到達した人の方が多いのです。

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USSジョンストン難破船は、第二次世界大戦で沈没し、水深6200mまで落ちていきました。これは現在最も深くに存在する難破船なのです。

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ここまでくると生物とは滅多に遭遇しません。しかし、存在しないわけではないようです。

水深7200mに生息するコームゼリーはクラゲのような深海生物です。

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8848m、エベレストの高さまで潜りましたが、まだまだ潜ることができます。

最深部までもう少し。多くの探査機や潜水艦が海の最深部に到達しようとして失われてきました。

1960年、潜水艦トリエステは海の最も深い場所である「チャレンジャーディープ」を目指しました。

降下中、深海の圧力により窓ガラスの1つにひびが入り、船全体が揺れるというアクシデントが発生。しかし、それでも潜ることをやめませんでした。

水深10911m チャレンジャーディープ

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そして遂に、トリエステ号は最深部へと到達できました。

このサイトでは「潜る」ことを「スクロール」で表現しており、深海を探索する楽しみを実感できます。

皆さんも是非、深海探索してみてくださいね。

The Deep Seaへ

地球最長の生物「アポレミア」を発見! 数百万の個体が合体した深海生物の神秘

reference: neal.fun / written by ナゾロジー編集部

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