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ガラス質火山岩を使った”無毒”な殺虫スプレーが誕生! 蚊を物理的に撃退

2021.01.27 Wednesday

2020.06.10 Wednesday

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パーライト粒子が付着した蚊の脚/Credit: NC State University
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  • ガラス質火山岩「パーライト」を使用した新しい殺虫スプレーが開発される
  • パーライト粒子が脚に付着すると、蚊が脱水症状になり死亡する
  • パーライト以外の化学物質は含まれず、人や他の哺乳動物にはまったく無害

マラリアによるアフリカの死亡者数は年間40万人にのぼり、その媒介者である蚊は、世界で最も人を殺している生物です。

現時点での対処法は、殺虫スプレーか、防虫処理された蚊帳が主流になっています。

しかし近年、殺虫剤に使用される「ピレスロイド成分」に蚊が耐性を持つようになり、従来の殺虫スプレーでは効果が薄れつつあるのです。

そこで米・ノースカロライナ州立大学は、複数の研究所と共同して、新しい室内残効性スプレー「イメルガードWP」を開発しました。

このスプレーは、ガラス質火山岩と水を混ぜて作られた斬新な殺虫剤であり、人やその他の哺乳動物にはまったく無害とのことです。

実証テストでは、従来の殺虫スプレーをはるかに上回る効果が証明されています。

蚊が「脱水症状」に陥る

イメルガードWPの主な材料は、ガラス質火山岩の「パーライト」です。

パーライトは、建築材料や庭の土壌添加剤としてよく使われ、工業用の需要が高いことで知られます。

これを粒子状に加工して水を混ぜるだけで、他の化学物質は一切使用しません。安全面やコストパフォーマンス面も非常に高いです。

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パーライトを粒子状に/Credit: mdpi

イメルガードWPは、屋内の壁や天井、屋根裏などに散布して使う、残効性のスプレーです。

その殺虫メカニズムについて、研究チームのウィリアム・レイノルズ氏は、「パーライト粒子が脚に付着することで、蚊が脱水状態に陥る」と説明します。

「蚊は鉱物への嗅覚を持たないため、イメルガードWPを回避できず、付着後、数時間以内に大半の蚊が死亡する」と続けます。

次ページ判明した驚異の殺虫効果

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