新たな研究はディープフェイクを見抜く弱点は瞳孔にあると説明する
新たな研究はディープフェイクを見抜く弱点は瞳孔にあると説明する / Credit:canva
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AIが合成した顔「ディープフェイク」を確実に見抜く方法が見つかる

2021.09.14 Tuesday

現代では非常に精巧な実在しない人間の顔を生成するAI技術が登場しています。

この人工知能によって作られた実在しない人物映像は「ディープフェイク」と呼ばれていて、今や人の目には本物とまったく見分けがつきません。

しかし、ニューヨーク州立大学(State University of New York; SUNY)は、ディープフェイクには本物と見分ける事ができる弱点があることを発見し、偽物を検出する技術を開発しました。

その秘密は瞳孔の形にあるといいます。

研究の詳細は、現在プレプリントサーバー『arXiv』に公開されています。

Something in The Eyes Reveals if You’re Looking at a Person Who Doesn’t Exist https://www.sciencealert.com/something-in-the-eyes-reveals-if-you-re-looking-at-a-person-who-doesn-t-exist 総務省 プラットフォームサービスに関する研究会(第27回) https://www.soumu.go.jp/main_content/000749422.pdf
Eyes Tell All: Irregular Pupil Shapes Reveal GAN-generated Faces https://arxiv.org/abs/2109.00162

AIが生み出す実在しない顔「ディープフェイク」

左の子は実在する人物の顔画像。右の子はAIに合成された架空の顔画像。
左の子は実在する人物の顔画像。右の子はAIに合成された架空の顔画像。 / Credit:Hui Guo et al.,arXiv(2021)

上に二人の子どもの顔写真がありますが、このどちらが本物で、どちらが偽物か分かるでしょうか?

この顔写真では左の子が実在の人物の写真で、右は人工知能によって生成された偽物の画です。

こうした人工知能に作られた偽の画像は、「ディープラーニング(深層学習)」と「フェイク」を組み合わせた造語「ディープフェイク」と呼ばれています。

この画像を生成しているのが、「敵対的生成ネットワーク(Generative adversarial networks; GAN)」と呼ばれる機械学習システムです。

このシステムの中には、贋作者(生成ネットワーク)と、鑑定士(識別ネットワーク)の2人が存在していて、贋作者が存在しない新しいデータを生成し、鑑定士がそれを見破ってダメ出しする、という作業を繰り返しています。

敵対的生成ネットワークの簡単な仕組み。
敵対的生成ネットワークの簡単な仕組み。 / Credit:ナゾロジー編集部,いらすとや

偽ブランドや、偽札などを作る贋作者は、最初見様見真似で偽物を作りますが、それを取り締まる警察やメーカーの鑑定士にバレてしまうと、改良してどんどん偽造の精度を上げていきます。

敵対的生成ネットワークでは、このイタチごっこを再現することで、どんどん精度の高い偽物を自動生成ができるようにしているのです。

ディープフェイクはもはや人の目では見分けがつかないレベルで非常に精巧な偽画像を生み出すようになっています。

しかし、ニューヨーク州立大学のフイ・グオ(Hui Guo)氏が率いる研究チームはこれを見破る方法を発見したといいます。

公開された論文によると、その秘密は目にあるのだといいます。

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