多元宇宙にも生命がいる可能性があるという研究結果

space 2018/05/15
Credit: CityGypsy11 on VisualHunt / CC BY-NC
Point
・ダークエネルギーが多すぎると星や惑星、銀河が形成できないと考えられていた
・人間が存在できるのは、この宇宙が多元宇宙の中でもダークエネルギーの少ない宇宙であるためと考えられていた
・シミュレーションの結果、ダークエネルギーの星の形成に及ぼす影響が穏やかであることが判明

 

もしこの宇宙の外に他の宇宙があるとしても、生命が存在する可能性は低いというのが現在優勢な理論です。しかし新たな研究によると、多元宇宙は私たちが思っているよりも快適なようです。

観測可能な宇宙が多くの宇宙の中の1つにすぎないとする、多元宇宙(マルチバース)仮説。そもそもこの仮説は、この宇宙の真空に十分な量のダークエネルギーがないことを説明するために提唱されたものです。実際私たちはダークエネルギーが何であるのかを知りません。ダークエネルギーとは宇宙を拡大させている力につけられた名前で、宇宙をどんどん加速させています。

ダークエネルギーは宇宙の約70%を構成しています。しかし宇宙起源に関する現在の理論では、ダークエネルギーはもっと多くなければなりません。また同時に、実際に算出される低い量のダークエネルギーよりも多くなると、宇宙はずっと速く広がるため、物質が星や惑星、銀河を生み出す前に拡散してしまう事が予想されます。ということは、私たちは存在できないということです。

「宇宙は存在しない」。物理学者が「反物質」を調べた結果、驚くべき事実がわかる

一方多元宇宙論では、私たちの宇宙の外に多くの宇宙があり、それぞれが異なった配分のダークエネルギーを持つとされています。幸運なことに私たちの宇宙は、生命が誕生し得るほどの少ない量のダークエネルギーを持っていたというのです。

これは一見画期的な理論ですが、テストのしようがありません。循環思考を含み、観察可能な証拠とは独立しているためです。

しかし私たちの住む宇宙については、テストが可能です。それこそが、研究者たちが今回実際に行ったことなのです。

Credit: VisualHunt

イギリスのデュラハム大学の物理学者ジェイミー・サルシドに率いられたチームは、宇宙の膨大なシミュレーションを作り、そのダークエネルギーの量を、最も現実的なシミュレーションの1つであるEAGLE projectをつかって導きました。その結果、観測できる宇宙にある量の数百倍までダークエネルギーが上下しても、星や惑星の形成には控えめな影響しか及ばないことがわかりました。つまり、星が出来たり、生命が存在できるダークエネルギー量の許容範囲は、実は広いことがわかったのです。多元宇宙には、実は生命があふれているのかもしれません。

しかしこの結果は、他の問題をもたらしました。それは、私たちの存在を説明するのに多元宇宙が必要でないのなら、この理論にもっともらしさはあるのかということです。研究者たちは、この理論を捨てたわけではありません。代わりに彼らは、ダークエネルギーの難問は、私たちがまだ理解していない何かよるものと信じています。

 

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via: Science Alert/ translated & text by SENPAI

 

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