安楽死マシン「サルコ」とは

安楽死には、医師が薬物を患者に直接注入する「積極的安楽死」と、医師が詳報した薬物を患者自ら服用する「自殺ほう助」があります。
どちらもほとんどの国で違法ですが、オランダ、スイス、ドイツ、ベルギー、ルクセンブルグ、カナダ、アメリカの一部州などでは合法化されています。
ただし、誰でも安楽死を受けられるわけではなく、それを選択する患者が、不治の末期症状で苦しんでいることが共通の条件となっています。
安楽死は一般に、医師が処方したペントバルビタールナトリウムという液体を注入する方法がとられています。
これを致死量摂取すると、およそ2〜5分以内に眠りに落ち、こん睡状態となって、最後には死に至ります。
スイスでは昨年、約1300人がこの方法により安楽死を遂げました。
これに対し、エグジット・インターナショナルの創設者で、サルコの開発者でもあるフィリップ・ニチケ氏は「安楽死のプロセスを本人にとってより簡単で安全なものにしたい」と述べます。
規制薬物を使用した安楽死は、複数の医師や精神科医による診断と許可が必要であり、場合によっては、パニック状態や窒息するような苦しさを感じることがあるという。
「そのような従来の方法に比べて、サルコは平和的で、むしろ優雅な死を遂げられる」とニチケ氏は語ります。
安楽死までのプロセス
サルコは、3Dプリンターで作られたカプセル型マシンで、規制薬物を使うことなく、患者を安楽死に導きます。
そのプロセスは以下の通り。
まず、患者がカプセルの中に入り、サルコを起動させます。
専用のボタンを押すと、台座部の装置から液体窒素が放出され、マシン内を満たしていきます。
約30秒でマシン内の酸素濃度が21%から1%まで急速に低下し、患者は眠りにつきます。
意識を失う前に、頭がぼうっとしたり、わずかな陶酔感があるかもしれませんが、5〜10分のうちに安らかな死が訪れるという。
薬物を使わないため、危険な副作用の心配がなく、死を迎えたカプセルは、微生物を分解することでそのまま棺桶となります。
また、サルコの起動には、ボタン以外にも、麻痺患者のための音声やまばたきによる操作も可能です。