安楽死マシン「サルコ」、スイスで合法化
安楽死マシン「サルコ」、スイスで合法化 / Credit: Exit International – A 3D-Printed Assisted Suicide Pod Is Now Legal in Switzerland(2021)
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安全な「安楽死マシン」の運用、スイスで合法化

2021.12.09 Thursday

2021.12.07 Tuesday

オーストラリアの非営利団体、エグジット・インターナショナル(Exit International)は2018年に、世界初となる3Dプリント製の安楽死マシン「サルコ(Sarco)」を開発し、賛否を含む多くの注目を集めました。

そしてこのほど、自殺ほう助が合法となっているスイスで、サルコを運用するための法的審査に合格したと発表されました。

オランダを本拠地とする同社は、スイスと協力して、2022年の運用開始を目指しているとのことです。

A 3D-Printed Assisted Suicide Pod Is Now Legal in Switzerland https://interestingengineering.com/a-3d-printed-assisted-suicide-pod-is-now-legal-in-switzerland?utm_source=rss&utm_medium=article&utm_content=06122021 3D-printed suicide pods are now legal in Switzerland https://www.businessinsider.in/international/news/3d-printed-suicide-capsules-are-now-legal-in-switzerland/articleshow/88114796.cms

安楽死マシン「サルコ」とは

サルコのイメージ図
サルコのイメージ図 / Credit: Exit International – A 3D-Printed Assisted Suicide Pod Is Now Legal in Switzerland(2021)

安楽死には、医師が薬物を患者に直接注入する「積極的安楽死」と、医師が詳報した薬物を患者自ら服用する「自殺ほう助」があります。

どちらもほとんどの国で違法ですが、オランダ、スイス、ドイツ、ベルギー、ルクセンブルグ、カナダ、アメリカの一部州などでは合法化されています。

ただし、誰でも安楽死を受けられるわけではなく、それを選択する患者が、不治の末期症状で苦しんでいることが共通の条件となっています。

安楽死は一般に、医師が処方したペントバルビタールナトリウムという液体を注入する方法がとられています。

これを致死量摂取すると、およそ2〜5分以内に眠りに落ち、こん睡状態となって、最後には死に至ります。

スイスでは昨年、約1300人がこの方法により安楽死を遂げました。

これに対し、エグジット・インターナショナルの創設者で、サルコの開発者でもあるフィリップ・ニチケ氏は「安楽死のプロセスを本人にとってより簡単で安全なものにしたい」と述べます。

規制薬物を使用した安楽死は、複数の医師や精神科医による診断と許可が必要であり、場合によっては、パニック状態や窒息するような苦しさを感じることがあるという。

「そのような従来の方法に比べて、サルコは平和的で、むしろ優雅な死を遂げられる」とニチケ氏は語ります。

安楽死までのプロセス

サルコは、3Dプリンターで作られたカプセル型マシンで、規制薬物を使うことなく、患者を安楽死に導きます。

そのプロセスは以下の通り。

まず、患者がカプセルの中に入り、サルコを起動させます。

専用のボタンを押すと、台座部の装置から液体窒素が放出され、マシン内を満たしていきます。

約30秒でマシン内の酸素濃度が21%から1%まで急速に低下し、患者は眠りにつきます。

意識を失う前に、頭がぼうっとしたり、わずかな陶酔感があるかもしれませんが、5〜10分のうちに安らかな死が訪れるという。

薬物を使わないため、危険な副作用の心配がなく、死を迎えたカプセルは、微生物を分解することでそのまま棺桶となります。

また、サルコの起動には、ボタン以外にも、麻痺患者のための音声やまばたきによる操作も可能です。

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