サルコは誰でも使用可能ではない
サルコを使えば、患者の好きな場所やタイミングで安楽死を遂げられますが、誰でも手に入るわけではありません。
まず、利用者は、心理的に責任能力があることを示すため、オンラインの心理テストに答える必要があります。
同社は、この心理テストに関し、「人工知能(AI)を用いて、死を選択する人の精神的健全性を評価したい」と述べています。
テストにより、本人の自由意志に基づいて安楽死を選択したことが証明できれば、サルコ入手を申請するための4桁のコードが得られるとのこと。
その後、同社からサルコが提供され、本人の希望する場所まで運ばれて、先に説明した手順で安楽死を開始します。
安楽死に「反対の声」も
今回、サルコの運用を法的に認可したスイスでは、住民投票や世論調査により、有権者の過半数が「自殺ほう助」に賛成していることが分かっています。
チューリッヒ州では2011年に、保守政党が提起した「州外・国外居住者の自殺ほう助の原則禁止」に対する住民投票が行われたのですが、大多数の反対で否決されています。
それから間もなく、スイス政府は「国としては、自殺ほう助団体を規制しない」旨を発表しています。
しかし、安楽死の合法化に異を唱える声は多く、安楽死マシン「サルコ」に対しても強く批判しています。
生命尊重派の団体は「サルコは自殺を魅力的かつ普遍的なものにしてしまう」と、以前からその危険性について訴えていました。
また、サルコが世界に浸透すれば、とんでもない数の自殺者が出てしまうとの声もあります。
日本でも安楽死は法的に認められていないため、サルコも当然ながら違法となるでしょう。
その一方で、日本人の7割以上は「安楽死に賛成」というデータがあり、将来的には、サルコの合法化もあり得るかもしれません。
果たしてサルコは、人々に「安らかな死」をもたらすのか、それとも「安易な死」を生み出すものなのでしょうか。