ヴァイキングが行なったとされる「血のワシ」の儀式とは?
ヴァイキングが行なったとされる「血のワシ」の儀式とは? / Credit: Luke John Murphy et al., University of Chicago Press Journals(2021)
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史上もっとも残酷なヴァイキングの拷問法「血のワシ」は実際に可能だったと判明 (2/2)

2021.12.21 Tuesday

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「実行可能だが、生贄はすぐに死んでしまう」

チームは、現代の解剖学と生理学の知見をもとに、「血のワシ」の儀式が生きた人間に与える影響を調査。

その結果、儀式そのものは非常に難しいが、当時の道具や技術であっても十分に実行可能であると結論されています。

まず、チームは、背中をすばやく切り開く道具として、ヴァイキングの槍の穂先を使用したのではないかと考えました。

ヴァイキングが使用した槍は遺跡からいくつも出土しており、非常に鋭利だったことが分かっています。

ヴァイキングの槍の穂先
ヴァイキングの槍の穂先 / Credit: Luke John Murphy et al., University of Chicago Press Journals(2021)

その一方で、どれだけ背中をすばやく丁寧に切り開いたとしても、犠牲者はすぐに死んでしまうことが示されました。

原因は、心身のショックおよび出血多量です。

そのため、肺を取り出してワシの翼のように広げたりするプロセスは、すでに絶命した遺体になされたのでしょう。

肺がひらひらと動く、最後の”羽ばたき”も起きなかったと見られます。

「血のワシ」の解剖イメージ
「血のワシ」の解剖イメージ / Credit: Luke John Murphy et al., University of Chicago Press Journals(2021)

それでも十分に残酷でありますが、研究チームは「ヴァイキングの戦士なら何のためらいもなく実行できたろう」と述べています。

ヴァイキングの遺跡からは、これまでに、人為的に処置を加えた人や動物の遺体がたくさん見つかっています。

たとえば、ビルカ(Birka、スウェーデンにあるヴァイキング時代の都市遺跡)の地で発掘された10世紀頃の貴婦人の遺体。

彼女は身なりが綺麗に整えられていましたが、生前に斬首された頭が、右脇に挟まれた状態で安置されていました。

また、斬首の際に失われたと見られる顎骨が、ブタの下顎で代用されていたのです。

貴婦人の遺骨の配置図
貴婦人の遺骨の配置図 / Credit: Luke John Murphy et al., University of Chicago Press Journals(2021)
埋葬時の復元イメージ
埋葬時の復元イメージ / Credit: Luke John Murphy et al., University of Chicago Press Journals(2021)

これだけ遺体を扱えるヴァイキングですから、「血のワシ」を実践していたとしても何ら不思議ではありません。

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