史上最大のヤスデの化石を発見!
史上最大のヤスデの化石を発見! / Credit: Neil S. Davies et al., Journal of the Geological Society(2021)
paleontology

全長2.6mの巨大ヤスデの化石を発見、「史上最大の無脊椎動物」と認定

2021.12.22 Wednesday

Giant Millipedes “As Big as Cars” Once Roamed Northern England – “Complete Fluke of a Discovery” https://scitechdaily.com/giant-millipedes-as-big-as-cars-once-roamed-northern-england-complete-fluke-of-a-discovery/
The largest arthropod in Earth history: insights from newly discovered Arthropleura remains (Serpukhovian Stainmore Formation, Northumberland, England) https://jgs.lyellcollection.org/content/early/2021/11/19/jgs2021-115

「ムカデやヤスデは見るのも苦手」

そんな方は、今回の発見に卒倒してしまうかもしれません。

このほど、イギリス北部の東岸にて、約3億年前に生息した絶滅ヤスデの一属アースロプレウラ(Arthropleura)」の化石が発見されました。

しかも、全長が2.6メートルに達すると推定され、これまでに見つかった”史上最大の無脊椎動物”と判明しています。

研究は、12月21日付けで学術誌『Journal of the Geological Society』に掲載されました。

「史上最大の無脊椎動物」を認定!

化石の発見は、2018年1月。

イングランド北部ノーサンバーランド州ホウィック湾の砂浜で巨大な砂岩が落下し、割れた断面からアースロプレウラの化石が見つかったという。

研究主任で、ケンブリッジ大学地球科学部(Cambridge’s Department of Earth Sciences・英)のニール・デイビス(Neil Davies)氏は、こう話します。

「化石の発見は、まったくの偶然でした。

石が倒れた衝撃で化石が露出したのですが、元博士課程の学生の一人が、そこを通りかかった時にたまたま見つけたのです」

化石は、脱皮した外骨格の部分に砂が敷き詰められて、保存されたものと考えられています。

砂岩の中から見つかったアースロプレウラの化石
砂岩の中から見つかったアースロプレウラの化石 / Credit: Neil S. Davies et al., Journal of the Geological Society(2021)

外骨格は多くの関節からなり、その形は現代のヤスデとほぼ同じでした。

ただ違うのは、その途方もないサイズです。

研究チームは同年5月に、政府機関のナチュラル・イングランド(Natural England)と土地所有者であるホウィック・エステート(Howick Estate)の許可を得て、化石を研究室に持ち帰りました。

調査の結果、このアースロプレウラは、約3億2600万年前の石炭紀に生息した個体と判明。これは恐竜の出現より1億年も前に当たります。

見つかった化石断片の長さは約75センチ、幅は55センチに達するとのこと。

ここから、全長が2.63メートル、体重は50キロを超えたと算出されました。

この記録は、これまで最大と見られていたウミサソリを抜いて、史上最大の無脊椎動物と認定されています。

ちなみに、アースロプレウラの化石はこれで3例目で、他2つはドイツで見つかっていますが、いずれも今回より遥かに小ぶりです。

アースロプレウラの全体像
アースロプレウラの全体像 / Credit: Neil S. Davies et al., Journal of the Geological Society(2021)

なぜこれほど巨大化したのか?

アースロプレウラはこれ以前に、すでに大型の無脊椎動物として認知されていました。

巨大化の要因としては、石炭紀後期における大気中の酸素濃度が高かったことが挙げられています。

しかし、今回の化石を調べたところ、酸素だけではすべてを説明できないことが分かりました。

研究チームは「これほどの大きさに成長するには、栄養豊かな食生活を送る必要があった」と指摘します。

石炭紀のイギリスは赤道付近に位置していたため、今日のように冷涼で湿潤な気候ではなく、より熱帯に近い気候だったと言われています。

さらに、化石の分析により、海岸近くの開けた森林に好んで生息していたことが示されました。

そのことから、アースロプレウラは、森林や水系の周辺に分布する植物を大量に食べていたと考えられます。

加えて、大型の天敵がまだ存在しなかったことも、彼らの巨大化を促した一因だったでしょう。

当時の生息環境を再現
当時の生息環境を再現 / Credit: Neil S. Davies et al., Journal of the Geological Society(2021)

アースロプレウラはその後、4500万年ほど存在したのちに絶滅しました。

絶滅の理由は分かっていませんが、専門家らは、気候変動に適応できなかったことや、大型の爬虫類が陸上に進出してきたことを挙げています。

また、アースロプレウラについては、まだまだ解明すべき点がたくさんあります。

デイビス氏は、次のように述べています。

「これほど巨大なアースロプレウラの化石が見つかるのは、きわめて稀です。

ヤスデは一度死ぬと体がバラバラになる傾向にあるので、状態の良い化石はなかなか見つかりません。

今回も頭の部分が残っていなかったので、すべての生態を知ることは難しいのです」

アースロプレウラの化石は2022年に、ケンブリッジ大学のセジウィック地球科学博物館に展示される予定です。

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