安楽死マシンの次は「安楽死インプラント」?
安楽死マシンの次は「安楽死インプラント」? / Credit: independent – Creator of ‘suicide pod’ wants to make body implant that would kill you if you forget to deactivate it(2021)
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安楽死マシンの死神博士、今度は「安楽死インプラント」の計画を発表

2021.12.24 Friday

Inventor of 3D-printed coffin-like ‘suicide capsules’ reveals plans to create a body implant for people with dementia that would KILL its user if they forget to deactivate it https://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-10339157/Inventor-suicide-pod-plans-create-lethal-body-implant.html Creator of ‘suicide pod’ wants to make body implant that would kill you if you forget to deactivate it https://www.independent.co.uk/life-style/gadgets-and-tech/suicide-pod-implant-doctor-euthanasia-b1980600.html

今月初め、世界初の3Dプリント製の安楽死マシン「サルコ(Sarco)」の運用がスイスで合法化され、広く話題を呼びました。

そのサルコの開発者であるフィリップ・ニチケ(Philip Nitschke)氏は今、新たに禁断の一歩を踏み出そうとしているようです。

報道によると、ニチケ氏は認知症を発症したときのために、利用者が解除を忘れると死に至る「安楽死インプラント」の開発を計画しているとのこと。

氏いわく、何のために「死のスイッチ」を解除するのか忘れた時点で、安らかに死ぬことができるという。

しかし、このコンセプトは、まだ認知症を発症していない人が、単に解除スイッチを忘れたり、あやまって寝過ごした場合、悲惨なことになりかねない危険なものです。

安楽死マシンの次は「安楽死インプラント」?

ニチケ氏は、オーストラリアの非営利団体・エグジット・インターナショナル(Exit International)の創設者であり、2018年に、安楽死マシン「サルコ」を開発して、賛否を含む注目を集めました。

自殺ほう助の擁護者である氏は、もともと医師をしていましたが、2014年にある男性の薬物自死を支援したことで免許を剥奪。

その結果として、同年、オーストラリア医療委員会からも登録を抹消されました。

ニチケ氏は20年以上もの間、安楽死の推進活動に携わっていることから、「死神博士(Dr Death)」というあだ名が付けられています。

その中で発表した安楽死マシンにより、さらなる物議を醸しました。

患者の安楽死は、それ以前、専門医師の許可と管理のもと、致死量の薬物を投与することが通例となっていました。

しかし、サルコは、利用者がマシンの中に入りボタンを押すだけで、大量の窒素が放出され、死の直前の痛みや副作用をともなわずに安らかに絶命できる仕組み。

サルコは、自殺ほう助が法的に認可されているスイスで、2022年から運用開始される予定です。

そして、合法化の発表からわずか数週間後、ニチケ氏は新たに、認知症のための「安楽死インプラント」の計画を発表しました。

フィリップ・ニチケ氏
フィリップ・ニチケ氏 / Credit: independent – Creator of ‘suicide pod’ wants to make body implant that would kill you if you forget to deactivate it(2021)

現時点で発表されている概要は、以下の通り。

まず、認知症が発症していない段階で、小型のインプラントを体内に埋め込みます。

毎日1回、定期的にスイッチを押せば、インプラントから致死量の薬物が投与されるのを止められるという。

しかし、認知症を発症して、インプラントの存在を忘れてしまえば、インプラントが起動し、患者を死に至らせる。

このコンセプトについて、ニチケ死は次のように述べています。

「最近では、ある人が認知症を発症すると、その10年前の健康な状態の時に、『こんな風になったら殺してくれ』と法的に紙に記入できるところもあります。

そして10年後、医者がやって来て、その紙を読み上げ、あなたは紙の上下も分からないのに、合法的に薬物を投与されてしまうのです。

これには多くの人が不快に思うでしょうし、私も不快に思っています。

そこで、私たちが取り組んでいるのは、毎日スイッチを切らなければならないインプラントのような装置です。

なぜスイッチを切るのか、その理由を忘れてしまったとき、あなたは安らかに死に至ることができます。

そうすれば、安楽死もその人の責任になり、当人が望むかたちの死を実現できるでしょう。

周囲の人が勝手に安楽死を決断できない中で、植物人間として生きながらえることは誰も望まないのですから」

 

しかし、このコンセプトには多くの問題点が内包されています。

認知症を発症するかどうかも分からないのに、毎日「死のスイッチ」を解除しなければならないとしたらどうでしょう?

あるいは、健康な状態なのに、うっかりスイッチを押し忘れたことでインプラントが作動してしまったとしたら…

今、世界は科学技術の急速な進歩ばかりが目立ち、倫理がそれに追いついていない状態です。

「安楽死インプラント」が実現する前に、一度立ち止まって、生と死について深く再考する必要があるでしょう。

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