生命の起源や「火星生命」の手がかりとなる新たな古細菌をイエローストーンで発見

biology 2018/05/20
Credit: Wolfgang Staudt on Visual Hunt / CC BY-NC
Point
・初期の地球や火星の環境に似たイエローストーンで新たな細菌が見つかった
・Marsarchaeotaと名付けられたこの古細菌は高温で酸化鉄が豊富な環境に生息している
・さらなる研究で生命の誕生の謎や、火星の生命について答えが得られる可能性

 

酸性の間欠泉や温泉で有名なアメリカのイエローストーンで、新たな細菌の系統が見つかりました。この発見は私たちの惑星における生命の起源を解き明かしてくれるかもしれません。古細菌に分類されるこれらの単細胞細菌は、酸化鉄が主要な鉱物であるイエローストーンの温泉で繁殖しているようです。火星の地表がこの種の鉱物で占められていることから、この系統は“Marsarchaeota(火星古細菌)”と名付けられました。

Marsarchaeota are an aerobic archaeal lineage abundant in geothermal iron oxide microbial mats
https://www.nature.com/articles/s41564-018-0163-1

イエローストーンの温泉の内部環境は初期の地球の環境に近いと考えられているため、火星古細菌は「どのように生命体が命を受けたのか」や「酸化鉄がどのような役割を持つのか」といった疑問に答えてくれるかもしれません。

顕微鏡解析やゲノム解析といった手法を用いて、イエローストーン公園のグレープフルーツジュースと同等の酸性度を持った温泉にあるバイオマットが調べられました。見つかったMarsarchaeotaは2系統に分けられます。一方は50℃以上の温度で生きており、もう一方は、60℃から80℃で生きています。サンプルはイエローストーン国立公園中でみつかっており、ある場所ではバイオマット中の生物の半分がこれらの古細菌でした。酸素は大気中から得られたもので、滴る水によってこの細菌に供給されます。この細菌はとても深いところに生息し、酸素はそれほど必要としません。

これらの古細菌を「生物系統樹」に加えることで、地球に始めに生まれた古細菌について、良い案が浮かぶかもしれませんし、さらには、この古細菌がどのように多細胞真核生物に進化したかという大きな疑問にも答えてくれるかもしれません。アイディアの1つは、これらの火星古細菌が、鉄のもっと単純な形態への変換に関わっているかもしれないというものです。火星古細菌は他の細菌とは違って、酸化鉄を産み出しません。「初期の地球環境では鉄の循環が非常に重要であったことが示されています」とモンタナ州立大学の上級研究員ウィリアム・インスキープは言います。

火星古細菌をもっと研究することで、高温環境における生物学の基礎が得られると同時に、火星において生命がどの様に生き延びられるか、その手がかりが見つかるかもしれません。

 

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via: Science Alert/ translated & text by SENPAI

 

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