140万回再生された「餓死寸前のクマ」はデマだった?

science_technology 2017/12/13

「かわいそう」
「環境問題について考えさせられる」

死に物狂いで餌を探すやせ衰えたクマの動画が、140万回以上再生されています。このクマは、気候変動によって氷が溶けたせいで餌にありつけずにいるのだとされ、人類への警鐘を鳴らしています。一週間前にアップロードされたこの動画は、日本も含めた多くのニュースサイトでも取り上げられ、世界中の人の同情を誘いました。

My entire @Sea_Legacy team was pushing through their tears and emotions while documenting this dying polar bear. It’s a soul-crushing scene that still haunts me, but I know we need to share both the beautiful and the heartbreaking if we are going to break down the walls of apathy. This is what starvation looks like. The muscles atrophy. No energy. It’s a slow, painful death. When scientists say polar bears will be extinct in the next 100 years, I think of the global population of 25,000 bears dying in this manner. There is no band aid solution. There was no saving this individual bear. People think that we can put platforms in the ocean or we can feed the odd starving bear. The simple truth is this—if the Earth continues to warm, we will lose bears and entire polar ecosystems. This large male bear was not old, and he certainly died within hours or days of this moment. But there are solutions. We must reduce our carbon footprint, eat the right food, stop cutting down our forests, and begin putting the Earth—our home—first. Please join us at @sea_legacy as we search for and implement solutions for the oceans and the animals that rely on them—including us humans. Thank you your support in keeping my @sea_legacy team in the field. With @CristinaMittermeier #turningthetide with @Sea_Legacy #bethechange #nature #naturelovers This video is exclusively managed by Caters News. To license or use in a commercial player please contact [email protected] or call +44 121 616 1100 / +1 646 380 1615”

Paul Nicklenさん(@paulnicklen)がシェアした投稿 –

この映像は、カナダ北東部のバフィン島にて、ナショナルジオグラフィックのフォトジャーナリストと環境保護団体「シーレガシー」のPaul Nicklen氏により撮影されたもの。

シーレガシーの共同経営者のCristina Mittermeierは、CBCラジオでこう述べています。

「この映像を撮影した時のクマは餓死寸前で、チーム全員が涙を流していました。しかしこの情景を世界に知らせなければいけません。その時の私たちにはカメラを回す以外は何もできないということに、ふがいない気持ちでいっぱいでした」

しかしこの報道の6日後に、科学者および先住民のコミュニティにある疑念が浮上します。

このニュースは「正義のフェイクニュース」なのでしょうか。

「飢えてかわいそうなクマ」は本当にいたのか?

ハドソン湾西岸のアルビアト周辺に生息する動物を調査しているLeo Ikakhik氏はこう語ります。

「この映像について、私はあまり驚いていません。母なる自然は、日々変化しています。これは自然の循環なのです。この映像を見た人は衝撃を受けるかも知れませんが、私にとってこのような光景を目にすることは初めてではないのです」

映像撮影に関わったMittermeierとNicklen側は、気候変動で海氷が溶けていることに原因があるのでは非難していますが、Ikahik氏は、むしろ病気や怪我が原因で狩りができなかったのではと考えています。

Ikahik氏は、同じエリアでいつも健康的で餌が十分にある北極熊を見ているだけでなく、足を怪我したクマを安楽死させた経験もありました。クマは食物連鎖の頂点に立つ捕食者であり、飢餓や病気あるいは他のクマと戦うことで死ぬ可能性も十分にあるのです。

「私はこの映像が撮影された北周辺の出身なので、このビデオには騙されません」とIkahik氏は言及します。「私はそもそも、気候変動を非難しない。これは自然界の話で、気候変動は動物も乗り越えなければいけないことなのです。」

批評家は「このビデオは重要だが、何世代にもかけてクマと共存するイヌイット民族に話を聞いていない状況で、このような感情に訴えるビデオは何の証明にもならない」と考えています。

上記Twitter訳:
「私は太ったホッキョクグマを去年の9月頃に撮影しました。この年は氷はなかったけど蝿が沢山飛んでいたし、あざらしが唯一の食べ物というわけではないのでは」

さらに、この映像は8月下旬に撮影されており、元々雪が全くない時期です。そしてこのビデオの公開をわざわざ12月まで待ったということが、「気候変動を警告するためのでっちあげの投稿ではないか」という疑念に拍車をかけています。

さらに約2800頭というクマの数は、過去20年間ほとんど変わっていないというレポートがバフィン湾で見つけられ、先住民からもこの映像に対して強い反対の声があがりました。

この映像は引き続き、科学界の間でその確実性と意義について、論争を巻きこしています。

「年老いて衰えているオスのクマが映っていますが、飢餓の臨床的症状について明らかにされていません。」と北極熊の生物学者のAndrew Derocher氏は海外メディアナショナル・ポストに言及しました。Derocher氏は、このクマが悪性の骨肉腫であること、または将来的に回復する可能性さえあるとしています。

海外メディアGlobe and MailのMargaret Wente氏は、「たとえ正当な動機であっても、フェイクニュースはその人の信頼性を傷つけることになる」と忠告しています。

以下、Twitterの反応です。

おそらく温暖化への警鐘を鳴らすという点では、これ以上ないほど成功しているでしょう。しかし、このような強い感情を引き起こすニュースに対しては特に、真偽を疑う目が常に必要なのです。

 

via: RT, BBC / text by nazology staff

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