星雲から放出された謎のレーザーを検出。その原因とは?

space 2018/05/18
Credit: NASA, ESA and the Hubble Heritage Team
Point
・宇宙望遠鏡がじょうぎ座の双極性星雲からレーザー放射を観測
・星雲の核付近のガスが濃いことと合わせて、星雲の白色矮星が連星であることが判明

 

じょうぎ座の方角にあるAnt Nebulaと呼ばれる双極性星雲Mz3の中心。どうやらそこでは、何か普通でないことが起こっているようです。

その2つの対称なローブは、星が死ぬ時に物質を撒き散らしたものですが、かなり珍しい形です。しかもこのデータを送ってきたのは、運用を停止したはずの宇宙望遠鏡から。謎が謎を呼ぶこのデータ、一体どういうことなのでしょうか。

こういった形になる仮説の1つは、星雲の核に濃いガスがあって、死んだ星の連星を隠しているというもの。実際、運用を停止したはずのハーシェル宇宙望遠鏡の新たなデータから、奇妙なレーザー放出現象が発覚。それによって、連星の存在が実証されたのです。この論文は16日、王立天文学会誌に掲載されています。

Herschel Planetary Nebula Survey (HerPlaNS): hydrogen recombination laser lines in Mz 3
https://academic.oup.com/mnras/advance-article-abstract/doi/10.1093/

望遠鏡は欧州宇宙機構のハーシェル宇宙望遠鏡で、太陽を回る軌道から赤外線を観察できるのですが、燃料を使い果たして機能を停止しています。しかし、いまだに多くのデータを送ってきているのです。機能を停止する前に、その視線は8000光年先のAnt Nebulaに注がれていました。

「ハーシェル宇宙望遠鏡の感度と広い波長範囲のおかげで、水素再結合ラインレーザー放射と呼ばれる非常に稀なタイプのレーザー放射を検出できました。それにより、星雲の構造や物理条件を明らかにする方法が得られたのです」とライデン大学の天文物理学者イザベル・アレマン氏は説明します。

Ant Nebulaで観測されたようなレーザー放射は、数えるほどしか例がありません。この現象が起きるのは星の近くに濃いガスがあるときだけです。ハーシェルの観測によると、星雲の核付近のガスの濃度は、通常の惑星星雲の約1万倍で、これは星雲のローブでの濃度に匹敵します。通常死んだ星は、物質を外へ押しやるので、中央は空っぽになります。つまり、Ant Nebulaでは何か普通でないことが起こっているのです。

そこでもっとも予想されるのは、死んだ白色矮星に連星があった可能性です。

「星の近くにガスが存在し続ける唯一の方法は、ガスが星の周りをディスク状にまわることです。今回のケースでは、私たちは実際に中央の極近辺に濃いガスがほぼ横向きにあるのを観察しています。この配置がレーザーを増幅するのを助けています。ディスクは、白色矮星が連星を伴っていることを示唆しています。なぜなら、連星がガスの軌道を正しい方向へ曲げない限り、放出されたガスが軌道に乗ることは難しいからです」と、マンチェスター大学の天文物理学者アルバート・ザイルストラは説明します。その様子は次の、マラガ大学の数学者フランシス・ビジャトロによる動画で確認できます。

もしかしたら、停止したはずの望遠鏡は、この不思議な連星を見出すために稼働していたのだとしたら…ちょっとロマンチックですね。

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via: Science Alert/ translated & text by SENPAI

 

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