社会的孤立が脳を変える。「攻撃性」や「不安」が増すのは特定の化学物質が原因だった

society 2018/05/18
CREDIT: MAAYAN HAREL
Point
・マウスによる実験により、社会的孤立が「攻撃性」や「不安」を増加させることがわかる
・それらは「タキキニン」とよばれる脳内物質が原因
・この発見は、人間の社会的孤立からくるストレスを理解するための一助となる

 

カリフォルニア工科大学の研究により、社会的な孤立が、脳内で特定の化学物質の生成を助長していることがわかりました。そして、その化学物質が人をより「攻撃的」に変え、「不安」を感じやすくさせてしまうというのです。

The Neuropeptide Tac2 Controls a Distributed Brain State Induced by Chronic Social Isolation Stress
https://www.cell.com/cell/abstract/S0092-8674(18)30361-1

マウスによる実験が行われたこの研究では、長期間の孤立を味わったマウスの態度があらゆる変化を起こしてしまうことが示されています。たとえば、見知らぬマウスに対して攻撃的になったり、継続的な「恐れ」を感じたり、刺激に対して非常に敏感に反応したりといった変化がみられました。

具体的な例をあげると、マウスを「驚かせた」際に、ふつうのマウスであればその刺激が起きている間のみ動きを止めて「固まり」ますが、孤立を経験したマウスは、刺激が去ったあとも長い間「固まって」いたのです。このような態度の変化は「2週間」孤立させたマウスにみられましたが、「24時間」孤立させたマウスにはみられませんでした。

以前行われたキイロショウジョウバエへの研究により、社会的孤立によって「タキキニン」とよばれる化学物質が分泌され、「攻撃性」が増してしまう要因となっていることがわかっていました。今回の実験は、それがマウスでも同じことが起こるのかを確かめたものになります。タキキニンは「扁桃体」や「視床下部」といった、マウスの「感情」や「社交性」に関連する場所のニューロンから生成される化学物質です。

実験の結果、やはりマウスの脳内でも社会的孤立がタキキニン分泌を増加させていたことが判明。そしてタキキニンの受容体の働きを止める薬を処方したところ、マウスの行動は通常のものと変わらなくなり、社会的孤立によるネガティブな効果は消え去っていました。

この研究はマウスによるものですが、人間の「社会的孤立」からくるストレスを理解するために役に立つと考えられます。研究を率いたモリエル・ゼリコスキー氏は、「精神的な病気の治療については、これまで脳全体を巡っているセロトニンドーパミンといったものに焦点が当てられていました。しかし、それらを下手に扱ってしまえば恐ろしい副作用に見舞われる可能性があります。これからの治療では、より特定の場所で分泌されるタキキニンのような物質に注目していくべきでしょう」と語っています。

 

それは「スマホ中毒」ではなく「社会交流中毒」だという話

 

via: eurekalert / translated & text by なかしー

 

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