肝臓ホルモンの投与でサルの飲酒量を減らすことに成功
肝臓ホルモンの投与でサルの飲酒量を減らすことに成功 / Credit:Depositphotos
medical

ホルモン治療で「アルコール依存症のサル」の飲酒量が低下!

2022.02.06 Sunday

アルコール依存症になると、自分の意志ではなかなかお酒の量を減らせません。

しかし最近の研究では、そんなアルコール依存症患者の希望となり得る結果が出ています。

米国アイオワ大学の医学部に所属するマシュー・ポトホフ氏ら研究チームが、アルコール依存症のサルの飲酒量を減らすことに成功したのです。

肝臓から分泌されるホルモンの投与が、アルコールの欲求を抑えるのに役立ったようです。

研究の詳細は、2月1日付で科学雑誌『Cell Metabolism』に掲載されました。

Study identifies neural pathway to target, potentially treat excessive alcohol consumption https://medicine.uiowa.edu/content/study-identifies-neural-pathway-target-potentially-treat-excessive-alcohol-consumption Liver hormone may help reduce alcohol addiction https://newatlas.com/health-wellbeing/liver-hormone-reduce-alcohol-addiction/
FGF21 suppresses alcohol consumption through an amygdalo-striatal circuit https://www.cell.com/cell-metabolism/fulltext/S1550-4131(21)00690-2#%20

サルの飲酒量を50%減らすことに成功

研究チームは、肝臓から分泌されるホルモン「FGF21」に注目してきました。

これまでの研究で、FGF21に関する遺伝子の変異がアルコール消費量の増加と関連していることが分かっています。

しかし、その正確なメカニズムまでは分かっていませんでした。

そこでチームは、FGF21がおよぼす影響を詳しく調査することにしました。

アルコール依存症になったサルにFGF21を投与して、飲酒量が変化するか実験したのです。

アルコール摂取量を50%減らすことに成功
アルコール摂取量を50%減らすことに成功 / Credit:Depositphotos

実験対象になったのは、人間と同じようにアルコールを好むベルベットモンキーです。

チームは、ベルベットモンキーを2つのグループに分け、片方のグループにだけ合成したFGF21を投与。

その後、それぞれのグループに水とエタノールのボトルを与え、どちらか選べるようにしました。

結果、FGF21を投与したグループは、そうでないグループに比べてアルコール消費量が50%も低下したのです。

またマウスでも同様の実験を行いましたが、こちらもFGF21を投与したグループのアルコール消費量が50%低下しました。

サルとマウスは、以前と同じようにエタノールを選びますが、飲む量がはるかに少なくなったのです。

次ページ肝臓から分泌されるホルモンが脳に働き飲酒を抑制する

<

1

2

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

医療のニュースmedical news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!