記録的な巨大波を検出
記録的な巨大波を検出 / Credit:MarineLabs_MarineLabs CoastAware™ Measures a Record Breaking Rogue Wave(2022)
geoscience

カナダ沖で「4階建てビル」に相当する巨大波(17.6m)が検出される

2022.02.17 Thursday

2020年11月17日、カナダ南西部のバンクーバー島沖で、17.6mの巨大波が検出されました。

大きな波が続いていたのではなく、突如として、周辺の波の約3倍の巨大な波が発生したのです。

これほど周辺との差が大きい巨大波が検出されたのは観測以来初めてであり、「1300年に1度の確率」だと言われています。

この巨大波に関する研究と報告は、カナダ・ビクトリア大学(UVic)に所属する海洋学者ヨハネス・ジェムリッチ氏ら研究チームによって行われました。

詳細は、2022年2月2日付の科学誌『Scientific Reports』に掲載されています。

MarineLabs CoastAware™ Measures a Record Breaking Rogue Wave https://marinelabs.io/news/marinelabs-coastaware-measures-a-record-breaking-rogue-wave/ 4-story rogue wave that randomly appeared in the Pacific Ocean is the ‘most extreme’ ever detected https://www.livescience.com/most-extreme-rogue-wave-ever-recorded
Generation mechanism and prediction of an observed extreme rogue wave https://www.nature.com/articles/s41598-022-05671-4

突如として大きな波が発生する「巨大波」とは

突如生じる巨大波は海難事故の原因となる
突如生じる巨大波は海難事故の原因となる / Credit:Depositphotos

「大きな波」と聞くと、多くの人は「津波」を思い起こすかもしれません。

これは海底の地殻変動などの衝撃で生じる波のことであり、その影響として、大量の海水が陸地に押し寄せます。

2011年の東日本大震災では、福島県や岩手県を高さ8~9mの津波が襲いました。

しかし今回報告されている「巨大波」は、こうした津波とはまるで種類が異なります。

巨大波とは、海洋で発生する波のうち、周辺の波よりも特に大きい特殊なものを指すのです。

例えば、高さ1mの波の中に1つだけ3mの波がある場合、この突出した波を巨大波と呼びます。

通常の海洋と巨大波の違い
通常の海洋と巨大波の違い / Credit:かぼ(Wikipedia)_巨大波

そして巨大波の脅威は、「周辺の波高との大きな差」と「出現予測が困難」な点にあります。

比較的穏やかな海を進んでいる船が、突如としてあらわれた巨大波によって被害を受けてしまうこともあるのです。

ちなみにこの巨大波、かつては海洋伝説の1つとして扱われており、その信ぴょう性は疑われていました。

ところが1995年、ノルウェー沖で初めて本物の巨大波を観測

それ以来、科学者たちは巨大波の原因や頻度について研究を続けているのです。

現在、「世界の海のどこかで2日に1回のペースで巨大波が形成されている」と推定する研究者もいるようです。

そして2020年、これまでに観測されたことのない規模の巨大波が検出されました。

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