画像
Credit:Canva . ナゾロジー編集部
society

ADHDは使わない物を積み上げる「買いだめ障害」を発症しやすいと判明!

2022.03.01 Tuesday

AHDHと溜め込み癖は関係しているようです。

英国アングリア・ラスキン大学(ARU)で行われた研究によれば、ADHD(注意欠陥・多動性障害)の人は、普通の人と比べて所有物を蓄積する傾向が大幅に高いことが判明した、とのこと。

どうやら自分の使用限度を超えて物品を溜め込む背景にはADHDなどの脳機能障害が潜んでいるようです。

研究内容の詳細は『Journal of Psychiatric Research』にて掲載されています。

ADHD Linked to ‘Significantly Higher’ Risk of Hoarding, New Study Finds https://www.sciencealert.com/adhd-is-linked-to-significantly-higher-risk-of-hoarding-new-study-finds
Elevated levels of hoarding in ADHD: A special link with inattention https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0022395621007263?casa_token=ht15tyVbIsYAAAAA:82xLGfHO507Rd1_svtJdXv5sUytqJNjPY5ZNdp49PdWbFW9v9NNR9fMdqvFghSEa9S-OSKk#!

AHDHは使わない物を積み上げる「買いだめ障害」を発症しやすいと判明!

画像
Credit:wikipedia . 買いだめ障害を起こした人の例

物がなかなか捨てられずに片付けが進まないという経験は、多くの人々が共有するものとなっています。

遊園地の半券や苦労して手に入れた商品の箱など、他人にとっては価値がないものでも、思い入れや当時の記憶を懐かしんで「自分にとっては大切なモノ」と保管しておく人は珍しくありません。

また、お気に入りの本や漫画を2冊以上購入し1冊は「保管用」として読まずに保管する人もいるでしょう。

あるいは、プレイするアテのないゲームでもとりあえず「所有」したいとの思いから、何作品も積みゲーにしている人も多いはずです。

しかし一部の人々は、それら保管や所有を自らの限界を超えて続けてしまうことが知られており、医学的に「買いだめ障害」と認識されることがあります。

画像
Credit:wikipedia . 買いだめ障害を起こした人の例

買いだめ障害が深刻化すると多くの場合、家がゴミ屋敷のように物品で覆われてしまいます。

また買いだめ障害の対象が本やゲームではなく猫などの生き物になってしまうと「多頭飼育崩壊」を引き起こし、最終的に殺処分などの悲劇を招いたケースも報告されています。

そこで今回、アングリア・ラスキン大学の研究者たちは「買いだめ障害」の背後に潜む精神病理を解明することにしました。

特に研究者たちが着目したのはADHD(注意欠陥・多動性障害)との関係です。

買いだめ障害は以前、強迫観念が原因で発生すると考えられていましたが、研究者たちが患者たちのデータを分析すると、不思議なほどADHDを併発しているケースが多くみられたからです。

そのため研究者たちは新たに「買いだめ障害」とADHDの関係を調べるための調査を行うことにしました。

調査にあたってはADHDの患者と一般の参加者とをつのり「買いだめ」の傾向がどれだけ強いかを測定しました。

結果、普通の人々のなかで「買いだめ障害」を発症している割合が2%に過ぎないのに対して、ADHDの患者では発症率が20%に及ぶことが発見されます。

またADHDの主な症状である不注意レベルが「買いだめ障害」の重症度と一致していることも明らかになりました。

この結果は、ADHDの人々は通常の人々に比べて「買いだめ障害」を発生させやすいことを示します。

研究者たちはADHD患者にみられる報酬系の異常が、物品の異常な所有に連動している可能性があると推測しています。

ADHDの世界的な有病率は3.4%と報告されており、決して珍しい症状ではありません。

もし本やゲームなどを、使用する目途がたたなほど大量に所有しているのならば一度、ADHDの診察を受けてみるのもいいでしょう。

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

社会のニュースsociety news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!