植物に麻酔薬をうった結果・・・

science_technology 2017/12/14
Credit: Pixabay

植物にも麻酔が効いてしまうらしい。

え?と思われたかもしれません。「植物って何かを感じたり動いたりするの?」と、普通は思いますよね。でも、皆さん大好きなオジギソウや、音楽を聴くと作物がよく育つ研究などを思い出してください。植物だって大変なんです。それに、植物で麻酔の研究をすることが、私たち人間に麻酔が効くその仕組が解明できるかもしれません。意外ですが、麻酔ってどうして効くのか分かってないんです。

Anaesthetics stop diverse plant organ movements, affect endocytic vesicle recycling and ROS homeostasis, and block action potentials in Venus flytraps – Annals of Botany
https://academic.oup.com/aob/advance-article/doi/10.1093/aob/mcx155/4722571

植物が麻酔で動かなくなる

Credit: Pixabay

麻酔と聞けば、おそらく痛みを和らげてくれる作用を思い浮かべると思います。でも、その不快感を打ち消すという単純な作用とはうらはらに、この複雑な化学物質についてはたくさんの試みがなされています。

ヒトに麻酔作用を持つ化学物質はさまざまですが、こういったお互いに無関係の化合物がどうやって、意識を奪うという共通の作用を及ぼすのかはほとんど分かっていません。

さらに、麻酔薬が効くのは動物だけでしょうと思ってたところで、植物にも効くんだよと聞かされると謎はさらに深まります。

何千年も前、古代文明の人たちは様々な鎮静化の目的で、ハーブなどを使っていました。しかし、現在の麻酔薬の起源は、19世紀中ほどにあります。医者たちは、現在も麻酔薬として使われている有機化合物である、ジエチルエーテルを処方し始めました。

そのほんの数十年後、科学者達はエーテルが植物にも同等の効果があることに気づきました。フランスのクロード・ベルナールは、植物と動物が、麻酔薬によって阻害される共通した生物的な仕組みを持っていると結論づけのです。

運動性植物に使ってみた

一世紀半の後になっても、科学者達は依然として、この奇妙な共通性を調査し続けています。その方法は基本的に、鎮静剤をいろんな植物に投与し、それがどう、植物に作用するか見ることです。

日本とヨーロッパの研究者による新しい研究では、ラピッドプラントムーブメントと呼ばれる植物による素早い動きを示す沢山の植物を使って、どんな種類の麻酔物質がこういった植物に効果があるかを撮影しました。

オジギソウ(Mimosa pudica)は、触られるとそれに反応して通常葉を閉じます。しかし、ジエチルエーテルに曝されると、この植物の反応は完全になくなり、動かなくなります。通常の反応に戻るまでには、7時間かかります。

感受性のあるこの植物を使った他の実験では、リドカイン溶液も同様の効果がありました。

同様に、ハエトリソウ(Dionaea muscipula)は、ジエチルエーテルに曝されると、研究者が何度もつついても罠を閉じられなくなりました。しかし、その効果は15分で切れました。

他の食虫植物であるモウセンゴケ(Drosera capensis)は、葉っぱに付いたねばっこい触手で獲物をとらえます。しかし、実験ではエーテルに曝されることで、葉っぱと触手を折り曲げる能力を失うことが示されました。

植物にも電流が流れて情報が伝わる

Credit: Pixabay / オジギソウの葉。触ると葉が閉じる

なぜこれらの化学物質で、神経がないはずの植物が動かなくなるのでしょうか。詳細はわかっていませんが、オジギソウの葉っぱは閉じるときに電流がはしることが知られています。研究者が立てた仮説によると、活動電位を抑えることで、電気パルスを阻害し、植物の生物的仕組みを機能させないようにしているようです。

「生体電気と活動電位は人や動物に活動能力をあたえるだけでなく、植物にも与えているのです」と研究者は説明します。

「動物や人だけでなく植物も活動電位を通して動けるということは、とても重要です。植物運動の複雑な性質や、植物の行動の元になる植物特有の認識、知性を我々が究極的には理解するためにです」

植物と動物の麻酔物質に対する反応が似ていることから、植物を代用モデルや試験方法として使うことができます。この研究は将来的に、いまだはっきりとわかっていない人に麻酔が効く仕組みなどを解明する一助となるでしょう。

 

via: sciencealert / text by nazology staff

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