ビッグバンでできたヘリウム3が地球の核から漏れて出ているようだ
ビッグバンでできたヘリウム3が地球の核から漏れて出ているようだ / Credit:depositphotos
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「ビッグバンで生成された原初のヘリウム」が地球のコアから漏れ出している

2022.04.05 Tuesday

ANCIENT HELIUM LEAKING FROM CORE OFFERS CLUES OF EARTH’S FORMATION https://news.agu.org/press-release/ancient-helium-leaking-from-core-offers-clues-of-earths-formation Primordial Helium, Left Over From the Big Bang, is Leaking Out of the Earth https://www.universetoday.com/155270/primordial-helium-left-over-from-the-big-bang-is-leaking-out-of-the-earth/
Primordial Helium-3 Exchange Between Earth’s Core and Mantle https://doi.org/10.1029/2021GC009985

地球の中央海嶺からはヘリウム3という、非常に珍しいヘリウムの同位体が漏れ出ています。

ほとんどのヘリウム3の起源はビッグバン直後にあり、このガスも原始太陽系星雲(太陽系を作り出した塵とガスの集まり)から地球形成時に取り込まれたと考えられています。

このため地球深部には原始ヘリウムの貯留層があるようですが、それがどこにあり、どのくらいの量が存在するかは不明でした。

米国ニューメキシコ大学(University of New Mexico)の地球物理学者ピーター・オルソン(Peter L. Olson)氏は最新の研究において、ビッグバンに由来するヘリウム3が地球のコアから漏れ出ていると報告

これは地球がいつごろ、太陽系のどの辺りで形成されたかという問題についても、洞察を与えてくれるといいます。

研究の詳細は、2022年3月28日付けで科学雑誌『Geochemistry, Geophysics, Geosystems,』に掲載されています。

ビッグバンで生まれたヘリウムガス

ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した干潟星雲。これら星雲はヘリウム3の主要な供給源であり、その起源はビッグバンまで遡る。
ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した干潟星雲。これら星雲はヘリウム3の主要な供給源であり、その起源はビッグバンまで遡る。 / Credit:NASA Goddard

通常のヘリウム(4He)は、陽子2個と中性子2個で構成されていますが、ここから中性子を1つ取り除いた同位体をヘリウム3と呼びます。

ヘリウム3の性質については、今回の話で特に意識する必要はありませんが、重要なのはこれが地球上では非常に稀な同位体であるということです。

ヘリウム3は自然の中ではトリチウムの放射性崩壊から生成される可能性がありますが、これはごく一部であり、宇宙に存在するほとんどのヘリウム3の起源はビッグバンにまでさかのぼります

つまり宇宙で最初に生成された元素の1つであり、基本的には地球上で補充されることのない元素なのです。

ところが、このヘリウム3は地球表面において少量とは言え測定されており、年間約2000グラムが地球内部から漏れ出ているというのです。

補充されないヘリウム3が地球内部から何十億年にも渡って漏れ続けているという事実は、これが地球形成時に取り込まれ地球深部に貯蔵されていることを意味しています。

「これは地球の歴史を知る上での有力な手がかりであり、現在も漏出し続ける量を見る限り、まだかなりの量が地球内部に存在していると考えられます」

研究の筆頭著者であるオルソン氏はそのように述べます。

現在ヘリウム3が地球内部のどこに貯蔵されていて、どのくらいの量が存在するかは明らかとなっていません。

ヘリウム3が地球のどこにどれくらい貯蔵されているかを知る研究には、地球の形成から今に至るまでの歴史資料として価値があるのです。

では、ヘリウム3は地球のどこにあるのでしょうか? それはどのくらいの量になるのでしょうか?

オルソン氏は、その貯蔵場所が地球のコアであると今回の研究で報告しています。

その根拠はなんなのでしょうか?

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