発光生物で満たした照明器具を開発
発光生物で満たした照明器具を開発 / Credit: Glowee
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「発光生物のランプ」 幻想的な照明器具をフランス企業が開発! (2/2)

2022.04.20 Wednesday

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LEDに比べて、光が弱い

最大の難点は、市場に出回っている大半のLED電球より、光量が少ないことです。

Gloweeの生物発光照明は、1平方メートルあたり15ルーメンの明るさとなっています。

これは、公園や広場の公共照明に最低限必要とされる1平方メートルあたり25ルーメンに遠く及びません。

これに対し、220ルーメンの家庭用LEDスポットライトは、床1平方メートルあたり約111ルーメンを出力することができます。

また、チューブ内のA. フィシェリは、今のところ数日から数週間しか生き延びられません。

それから、栄養素を与えて、成長・増殖するたびに液体を希釈する必要があります。

(細が増えすぎると、その分だけ酸素の消費量が増え、発光しなくなる)

さらに、専門家の指摘によると、微生物発光は温度依存性が非常に高く、冬時期でもうまく発光するかわからない」という。

こうした点を解決しなければ、公共の場での実用化は困難でしょう。

生物発光を内蔵した公共家具を作る予定も
生物発光を内蔵した公共家具を作る予定も / Credit: Glowee

Gloweeは、これらの難点を認めながらも、「生物発光照明には、環境的にも経済的にもメリットがある」と主張します。

チームは現在、細菌が作り出す光の強度を高めるべく、さまざまな温度や圧力に晒して研究を進めているところです。

また、この照明は現時点で、小型の水槽チューブしかありませんが、近々、生物発光を内蔵した屋外ベンチなど、数種類のストリート・ファニチャー(街路に設置される公共物)を生産する予定とのこと。

さらに、本プロジェクトの注目度は高く、フランスの玄関口であるシャルル・ド・ゴール国際空港でも、生物発光照明の設置計画が進められています。

街に配置された生物発光ランプ
街に配置された生物発光ランプ / Credit:Glowee

Gloweeは、照明の実用化のため、フランス、ベルギー、スイス、ポルトガルの40都市と交渉中であるという。

ランブイエ市役所の公共スペース責任者であるギヨーム・ドゥエ(Guillaume Douet)氏は「この試みが成功すれば、国全体の変革につながる」と指摘。

「これは、明日の都市を考えるものです。このプロトタイプが本当にうまくいけば、大規模な展開が可能になり、現在の照明システムを大胆に置き換えることができるでしょう」

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