生物学的構造にとらわれなければロボットはどこまで高くジャンプできるのか?
生物学的構造にとらわれなければロボットはどこまで高くジャンプできるのか? / Credit:canva
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生物の限界を超えろ! 史上最も高くジャンプできるロボットが開発される

2022.04.28 Thursday

「ジャンプ」は、生物にみられる効率的な移動手段ですが、その構造ゆえに限界があります。

では、生物的な構造に縛られない工学的ロボットであれば、もっと高くジャンプできるのでしょうか?

アメリカ・カリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCSB)機械工学科に所属するエリオット・ホークス氏ら研究チームは、工学的ジャンプの限界点に挑戦しました。

その結果、史上最も高くジャンプできるロボットの開発に成功。

バネとモーターを利用したシンプルな構造ですが、30m以上の高さまでジャンプできます。

研究の詳細は、2022年4月27日付の科学誌『Nature』に掲載されました。

Hitting New Heights https://www.news.ucsb.edu/2022/020619/hitting-news-heights New jumping device achieves the tallest height of any known jumper, engineered or biological https://techxplore.com/news/2022-04-device-tallest-height-jumper-biological.html
Engineered jumpers overcome biological limits via work multiplication https://www.nature.com/articles/s41586-022-04606-3

生物の限界を超える試み

ジャンプは障害物を乗り越えたり、一気に遠くへ移動したりするための効率的な運動です。

これは地上で生活する生物に備わっている機能であり、足で地面をけり上げることで達成されます。

到達できる実際の高さは人間がつくった「ロケット噴射」に及びませんが、燃料の補充もなく短期間で何度も繰り返せるのは大きなメリットだと言えます。

生物のジャンプ
生物のジャンプ / Credit:Depositphotos

また体長比で考えるなら、跳躍力だけでも注目に値します。

例えば、体長比で世界一の跳躍力をもつと言われている「アワフキムシ(学名:Cercopoidea)」は、体長の100倍の高さまでジャンプできるのです。

しかし科学者たちは、生物の構造には限界があると感じています。

生物が1回のジャンプのために蓄えるエネルギー量は、その小さな筋肉によって制限されているからです。

では、生物的構造に縛られない「工学的構造」を採用するなら、生き物の限界を超えた跳躍力を生み出せるのでしょうか?

ホークス氏ら研究チームは、跳躍力を最大化するために、生物とは全く異なったジャンピングロボットを開発しました。

次ページギアとゴムで極限までエネルギーを蓄える「ジャンプ特化型ロボット」

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