北海道から新種恐竜が誕生
北海道から新種恐竜が誕生 / Credit: 画・服部雅人 – 北海道大学(2022)
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北海道から「新種恐竜」を発見! 細長い爪を”熊手”のように使っていた

2022.05.11 Wednesday

われらが日本から「新種の恐竜」が誕生しました。

北海道大学総合博物館、岡山理科大学らの研究グループは、2000年に北海道中川町で見つかっていた約8300万年前の恐竜化石を再調査。

その結果、この化石が獣脚類のテリジノサウルス科における新属・新種であることが判明しました。

学名は、パラリテリジノサウルス属の「パラリテリジノサウルス・ジャポニクス(=日本の海岸に棲むテリジノサウルス)」と命名されています。

研究の詳細は、2022年5月3日付で科学雑誌『Scientific Reports』に掲載されました。

北海道中川町の恐竜化石を新属新種「パラリテリジノサウルス・ジャポニクス」と命名~恐竜類テリジノサウルス科の爪の進化~ https://www.hokudai.ac.jp/news/2022/05/post-1036.html
New therizinosaurid dinosaur from the marine Osoushinai Formation (Upper Cretaceous, Japan) provides insight for function and evolution of therizinosaur claws https://www.nature.com/articles/s41598-022-11063-5

長さ1mの爪を持つ「テリジノサウルス」ってどんな恐竜?

獣脚類のテリジノサウルス科は、とてもユニークな恐竜として有名です。

全長は尾を含め10メートル程になり、1メートル近くある長い爪を持っていました。

名前のテリジノサウルスは「刈り取りをするトカゲ」を意味し、長い爪で草を刈り取るように食べていたと考えられます。

このグループは、白亜紀(約1億4500万年〜6600万年前)の前期に多様化し、後期にアジア圏で繁栄しました。

進化とともに「肉食・雑食」から「雑食・植物食」に食性を変えていったことがわかっています。

肉食恐竜に代表される獣脚類に属してはいるものの、テリジノサウルスの動きは鈍く、3本の長い爪を引きずって歩いていたようです。

「テリジノサウルス」の復元イメージ
「テリジノサウルス」の復元イメージ / Credit: ja.wikipedia

テリジノサウルスの化石は、主にモンゴルとアメリカで見つかっていますが、白亜紀当時、アジア大陸の東端にあった日本からも過去に2度、白亜紀前期の篠山層群(兵庫)と白亜紀後期の御船層群(熊本)にて、発見例があります。

そして2000年、北海道中川町の天塩川水系にて、約8300万年前の白亜紀後期の地層から、テリジノサウルス科と思しき右手の化石が発見されました。

化石の発見地と見つかった部位
化石の発見地と見つかった部位 / Credit: 北海道大学 – 北海道中川町の恐竜化石を新属新種「パラリテリジノサウルス・ジャポニクス」と命名~恐竜類テリジノサウルス科の爪の進化~(2022)

この化石は、テリジノサウルス科との類似が示唆されたものの、現時点では、より広い分類群であるマニラプトル類に含まれています。

そこで本研究グループは、近年増えている世界中のテリジノサウルス類の標本も比較対象として含め、中川町の化石標本の再調査を実施しました。

次ページテリジノサウルス科の新属・新種と判明!

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