あくびの伝染で「集団の警戒心」が高まる?
あくびの伝染で「集団の警戒心」が高まる? / Credit: canva
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あくびが伝染してしまう背景に「集団の警戒心」を高める効果があった⁉︎

2022.05.30 Monday

人のあくびを見ていると、なぜか自分まであくびが出てしまうことがあります。

これは私たちだけでなく、動物界にも広く見られる「あくびの伝染」現象です。

しかし、なぜあくびはうつってしまうのでしょうか?

米ニューヨーク州立大学ポリテクニック研究所(SUNY Polytechnic Institute)はこのほど、あくびに関する先行研究を収集し、個体間で伝染する理由を調査。

その結果、あくびの伝染は、ある動物集団の警戒心を促進し、仲間との運動同調性を高める可能性が示唆されました。

あくびの伝染は、種の生存に一役買っているのかもしれません。

研究の詳細は、2022年4月11日付で科学雑誌『Animal Behaviour』に掲載されています。

Scientists Just Got Closer to Understanding Why Yawns Are So Darn Contagious https://www.sciencealert.com/evidence-shows-contagious-yawning-helps-groups-of-animals-keep-their-eyes-peeled
The causes and consequences of yawning in animal groups https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0003347222000719

あくびにはどんな機能があるのか?

あくびは、魚から鳥、マウス、サル、ヒトに至るまで、多くの脊椎動物で確認されており、私たちの共通祖先がかなり古くに進化させた行動と考えられています。

その機能は長らくの間、謎めいていましたが、近年の研究で、あくびには「を冷やす機能がある」ことが明らかになってきました。

進化生物学者で、本研究主任のアンドリュー・ギャラップ(Andrew Gallup)氏によると、あくびは「冷たい空気の吸入と口腔周囲の筋肉のストレッチを同時に行うことで、脳への冷たい血液の流れを増加させ、体温調節をしている」のだという。

あくびの長い生き物ほど、脳が大きいと判明!体のサイズは関係なし

脳は適切な温度で最もよく働き、脳の温度が上がりすぎると、注意力や集中力を欠いてしまいます。

その対策として動物たちは、あくびにより脳を冷やすことで、集中力を回復させようとしているのです。

室温が高くなったり、ご飯を食べて体がポカポカし始めると、あくびが出やすくなるのはこのためでしょう。

では、あくびが仲間に伝染することには、どんなメリットがあるのでしょうか。

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