冥王星が何百万もの彗星で出来ている可能性

space 2018/05/26
Credit: NASA’s Marshall Space Flight Center on Visualhunt / CC BY-NC
Point
・ニューホライズンとロゼッタによる調査で、冥王星と67P彗星の化学組成が詳しくわかる
・冥王星と67P彗星の類似から、冥王星が彗星で出来たとする仮説を提唱
・冥王星地下の海の水によって大気中の一酸化炭素が少なくなるとする説明が有力となる

 

冥王星はもう惑星には分類されていまんせが、その人気はいまだ健在です。「準惑星がどの様にできるのか?」「他の惑星とこれほど違いがあるのはなぜ?」など、謎もたくさん。そんな人気者(星)の冥王星ですが、研究者たちがその化学組成を検査した結果、「冥王星は彗星で出来ている」という興味深い説が浮上しました。

Primordial N2 provides a cosmochemical explanation for the existence of Sputnik Planitia, Pluto
https://arxiv.org/ftp/arxiv/papers/1805/1805.09285.pdf

現在受け入れられているモデルでは、惑星は小さな物体が徐々に集まってできたとされていて、カイパーベルトのすぐとなりに位置する冥王星も同じようにしてできたと考えられています。しかし、冥王星と67P彗星の間に類似性があることは、サウスウェスト・リサーチ・インスティチュート(SwRI)の科学者が信じるところによると、偶然ではないのかもしれません。特に、スプートニク平原の窒素に富んだ氷における類似は顕著です。

ニューホライズンが冥王星を、ロゼッタが67P彗星を調査した結果、冥王星と彗星に関する今までにないほど豊富なデータを得ることが出来ました。今回発見したのは、1つは冥王星の氷河内に推定される窒素量。そして、もし冥王星が十億もの彗星や67Pの化学組成に似たカイパーベルトの天体によって形成された場合に、予測される窒素量の間にある興味深い整合性です。

 

冥王星の窒素の多さの原因とは?

冥王星における窒素は、タイタンにおけるメタンや地球における水のようなものです。その揮発性が準惑星の表面を形成する上で鍵となります。冥王星の表面温度では粘性が低いので、窒素は地球上の氷河のように流れ、地盤を削ってその風景を変えることが出来ます。地球の大気の約78%が窒素ですが、冥王星では約98%です。窒素の氷と窒素の大気によって、冥王星の窒素の割合は異常に高くなっています。

これまで科学者たちは、この窒素は冥王星に降り注いだ彗星によってもたらされたと考えていました。しかしこのモデルでは、窒素の豊富な絶対量を説明できません。他にも、太陽と同じ化学組成を持つ極低温の氷から冥王星が出来ているというモデルも検証されました。そして、どれだけの窒素が宇宙へと逃げていくのかを知るために、冥王星の漏れ出す大気を研究。これらのモデルでは、冥王星の大気中の一酸化炭素の量と整合性をとる必要がありますが、いずれのモデルでも、その量が少ないことを説明できないのです。

 

「彗星モデル」で解決

一方今回の研究モデルでは、彗星による構成単位を引き継いだ冥王星の最初の化学組成が、おそらくは地下の海にある液体の水で化学的に調整を受けたとこが示唆されています。

彗星モデルの下では、失われた一酸化炭素は冥王星の地下で凍りついて封じられているということも出来ます。彗星モデルで失われている一酸化炭素をよりうまく説明できることから、太陽モデルよりも彗星モデルのほうが有り得そうだと研究者は言います。

もちろん研究者が言うように、現段階では仮説に過ぎませんが、将来の分析において取り上げられるべき多くの更なる質問に対する深い理解をもたらすでしょう。例えば、67P彗星における豊富な窒素量は他の彗星でも普遍的なのかと言った疑問や、冥王星の揮発性の進化に液体の水はどのように働くのかと言った疑問です。

「この研究は、ニューホライズンやロゼッタによるミッションの素晴らしい成功に根ざしていて、冥王星の起源と進化についての理解を深めてくれました。化学を検出の道具として使うことで、冥王星で今日見られる特徴の形成過程を過去へと追跡できます。それによって、わたしたちがつかみ初めたばかりの冥王星の歴史の豊かさに対する新たな深い理解が得られるのです」とSwRIの地球化学者クリストファー・グレイン氏グレインは述べています。

 

太陽系9番目の惑星の存在を示す新たな証拠がみつかる

 

via: Science Alert/ translated & text by SENPAI

 

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