浮遊スクリーンに投影されたウサギ
浮遊スクリーンに投影されたウサギ / Credit:Ryuji Hirayama(UCL)et al., Science Advances(2022)
physics

障害物があっても自在に物質を摘んで動かし、3D映像の投影もできる「音響ピンセット」 (2/2)

2022.06.20 Monday

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空中を「舞うチョウ」と「飛び跳ねるウサギ」

研究チームは、浮遊物体にプロジェクターで映像や色を投影することで、ホログラムのような新しい映像技術を生み出しました。

例えば、高速で動くビーズに光を投影することで、まるでカラフルなチョウが飛んでいるかのような現象をつくりだせます。

1つの浮遊物体がカラフルなチョウに
1つの浮遊物体がカラフルなチョウに / Credit:Ryuji Hirayama(UCL)et al., Science Advances(2022)

また、複数の物体にシートを貼り付けて浮遊させることも可能。

そこにプロジェクターで映像を投影するなら、空中をキャラクターが移動しているかのような現象を作り出せます。

ウサギのオブジェクトの上を飛び跳ねる「浮遊ウサギ」。従来の技術では、ウサギのオブジェクトによる音波の散乱で、物体を浮遊させられなかった
ウサギのオブジェクトの上を飛び跳ねる「浮遊ウサギ」。従来の技術では、ウサギのオブジェクトによる音波の散乱で、物体を浮遊させられなかった / Credit:Ryuji Hirayama(UCL)et al., Science Advances(2022)

上記の実験映像では、浮遊スクリーンに投影されたウサギが元気よく飛び跳ねている様子を確認できますね。

さらに映像を投影したスクリーンを高速で回転させるなら、まるでホログラムのような3Dのキャラクターをつくりだすことも可能なのです。

浮遊スクリーンを回転させると、ホログラムのような映像がつくれる
浮遊スクリーンを回転させると、ホログラムのような映像がつくれる / Credit:Ryuji Hirayama(UCL)et al., Science Advances(2022)

この技術を利用すれば、人々を驚かせる新しい芸術や広告が生まれるでしょう。

また「手を触れずに材料を混ぜ合わせる技術」など、化学工学の分野でも役立つかもしれません。

とはいえ平山氏によると、現状、音波の散乱に対応できるのは、全く動かないか、もしくは予測可能な動きをする物体だけのようです。

そのため今後は、「あらゆるものが予想外の動きをしたとしても、物体を浮遊させ続ける」ことを目標にしています。

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