「寄生体」から「共生体」への進化の途中か?
非常に興味深いことに、今回のゲノム解読から、D. フォリクロルムの細胞数は、幼虫と成虫の中間時期に最も多くなることが判明しました。
普通、生物は成長するごとに細胞数を増やしますが、彼らは中間期を境に、大人になるにつれ、細胞数を減らしていたのです。
研究チームによると、これは「D. フォリクロルムがヒトに内部共生するための進化の一段階である」と指摘します。
しかし、ダニが内部共生することで、人体に害はないのでしょうか?
これまでの研究で、この種のダニには「肛門」がないため、一生(約2週間)を通じてフンを体内に溜め込み、死ぬときにそれを一挙に放出して、皮膚に炎症を起こしている、と指摘されていました。
ところが今回、D. フォリクロルムを顕微鏡でつぶさに調べたところ、初めて「肛門」が見つかったのです。
つまり、D. フォリクロルムは、肛門を通してちょっとずつ排便することで、皮膚に害のないようにしていると見られます。
もしかしたらこれも、D. フォリクロルムがヒトとの内部共生の前準備として進化させたものかもしれません。
顔にダニが住んでいることを想像するだけで、不気味なことは確かです。
しかし、特にイタズラもしませんし、彼らを絶滅から守っていると考えれば、そんなに悪い気もしないのではないでしょうか?