パンダの「第6の指」は600万年前には存在していた
パンダの「第6の指」は600万年前には存在していた / Credit: Xiaoming Wang et al., Scientific Reports(2022)
paleontology
Pandas gave bamboo the thumbs up at least six million years ago https://phys.org/news/2022-06-pandas-gave-bamboo-thumbs-million.html Miocene-Period Giant Panda Already Had Enigmatic Extra ‘Thumb’ http://www.sci-news.com/paleontology/ailurarctos-extra-thumb-10957.html
Earliest giant panda false thumb suggests conflicting demands for locomotion and feeding https://www.nature.com/articles/s41598-022-13402-y

2022.07.02 Saturday

パンダはいつから笹を食べ始めたのか? 600万年前の祖先から竹を掴むため進化した指を確認!

突然ですが、パンダの指は、何本あるかご存知でしょうか?

多くの哺乳類は、私たちを含め5本指が普通ですが、ジャイアントパンダはこの他に、手首から出っ張ったコブのような指が生えています。

これは「第6の指」と呼ばれ、主食とする竹を掴むために役立っています。

一方、これまでの研究で、第6の指の化石記録は、約10万〜15万年前のものしか確認されておらず、いつ、どのように進化したのかよくわかっていませんでした。

しかし今回、米ロサンゼルス自然史博物館(Natural History Museum in Los Angeles)らの研究により、パンダの祖先の化石から、約600万年前にはすでに第6の指が存在していた証拠が見つかったのです。

これは、パンダが予想よりはるか昔から、竹食へシフトしたことを示唆します。

研究の詳細は、2022年6月30日付で科学雑誌『Scientific Reports』に掲載されました。

「第6の指」は600万年前にはすでに存在していた!

現代のジャイアントパンダに見られる「第6の指」
現代のジャイアントパンダに見られる「第6の指」 / Credit: Xiaoming Wang et al., Scientific Reports(2022)

研究チームは今回、ジャイアントパンダの祖先である「アイルラルクトス(Ailurarctos)」の手首の骨を調べました。

この化石標本は、中国南部・雲南省の昭通市(しょうつうし)で発見されたもので、年代は約600万〜700万年前の後期中新世にさかのぼります。

チームは、手首の骨の形やサイズを、現生するジャイアントパンダの「第6の指」、科学的な正式名称は「橈側種子骨(とうそくしゅしこつ、radial sesamoid)」と比較しました。

また、これと別に、約900万年前に生息し、ジャイアントパンダとの共通祖先と目される古代グマ「インダルクトス・アルクトイデス(Indarctos arctoides)」の骨とも比較分析しています。

アイルラルクトスの「第6の指」の化石
アイルラルクトスの「第6の指」の化石 / Credit: Xiaoming Wang et al., Scientific Reports(2022)

その結果、アイルラルクトスの手首に、ジャイアントパンダの橈側種子骨とよく似た突起構造が特定されたのです。

一方で、古代グマの方には、それに当たる突起構造が見られませんでした。

このことから、今日のパンダに見られる第6の指は、少なくとも600万年前には進化していたと推測できます。

研究主任のワン・シャオミン(Xiaoming Wang)氏は、こう指摘します。

「ジャイアントパンダの祖先は、肉やベリー類を食べる雑食から、栄養価は低いものの、豊富に手に入る竹を主食とする方向へシフトしました。

このとき、竹をしっかりとグリップするために、手首から第6の指が進化したのです。

そして今回の結果から、パンダの祖先は、600万年前にはすでに竹を主食とする食性へと進化したことが伺えます」

アイルラルクトスの想像図
アイルラルクトスの想像図 / Credit: Xiaoming Wang et al., Scientific Reports(2022)

他方で、現代のジャイアントパンダとアイルラルクトスの第6の指には、サイズと形状に違いが見られました。

ジャイアントパンダの第6の指は、アイルラルクトスよりかなり短く、ずんぐりとしていて、外側の表面が平らになっていたのです。

これについて、ワン氏は「指の短さと平らな外面は、4つ足で歩くときの体重配分を助けるために、長い時間の中で変化したものでしょう」と指摘します。

つまり、第6の指は、竹をつかむことの他に、歩行時の体重を支える機能としても用いられたのです。

この二重の機能が、ジャイアントパンダの第6の指のサイズや形を制限する要因となったようです。

竹のグリップだけでなく、歩行時の体重を支える機能も果たした
竹のグリップだけでなく、歩行時の体重を支える機能も果たした / Credit: Xiaoming Wang et al., Scientific Reports(2022)

パンダは、肉食の祖先から進化して、純粋な竹食へと進化する中で、多くの障害を乗り越えなければなりませんでした。

「第6の指」の発明は、それらのハードルをクリアして、環境に適応するための驚くべき偉業だったのかもしれません。

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