罰を下すことに「報酬」が出ると罰する意欲が半減すると判明!
罰を下すことに「報酬」が出ると罰する意欲が半減すると判明! / Credit:Canva . ナゾロジー編集部
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People Hurt Other People to Signal Their Own Goodness https://neurosciencenews.com/moral-righteousness-intentional-hurt-20881/
Material Benefits Crowd Out Moralistic Punishment https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/09567976211054786

2022.07.04 Monday

「報酬」が出ると罰する行為への意欲が半減すると判明! 正義のヒーローが報酬を断る理由

正義のヒーローがお金をとらない心理が判明しました。

米国のカリフォルニア大学(University of California)で行われた研究によれば、道徳的正義のために罰を下すことに対して「報酬(現金)」が与えられるようになると、人間は新たに罰を下す意欲が半減することが判明した、とのこと。

正義のために悪を罰してついでにお金までもらえるなら、心も財布も両方温まって非常にお得なはずですが、どうやら私たちの脳はそれらを両取りすることに非常に「臆病」になっているようです。

いったいなぜ「正義のための罰」と「報酬」の相性は悪いのでしょうか?

研究内容の詳細は『Psycholosical Science』にて掲載されています。

罰を下すことで「報酬」が出ると罰する意欲が半減すると判明!

純粋な加害欲求によって発生する暴力事件は少数であり、ほとんどが何らかの個人的な正義を実行するために行われる
純粋な加害欲求によって発生する暴力事件は少数であり、ほとんどが何らかの個人的な正義を実行するために行われる / Credit:Canva . ナゾロジー編集部

私たち人間はしばしば「道徳的正義」のために他者に対して罰を下します。

いたずらをした子供、不正を犯した政治家、空き缶のポイ捨てなど、私たちは可能な範囲内で、自らの正義をもとに罰を下そうとします。

最新の研究では「罰を下す」という決断は8カ月の乳児にも観察されることが確認されており「罰」は人間にとって本能的な行為である可能性が示されています。

しかし正義は人の数だけ存在します。

以前の研究では、暴力事件を起こした犯罪者たちにインタビューを行ったところ、ほとんどの犯罪者たちが自分なりの正義にもとづいて暴力を行使していたことが明らかになっています。

例えば、侮辱を償わせるための暴行や、ギャングが縄張りを維持するための抗争は、法律に反していても、当人にたちにとっては「正義」と認識されていました。

そのため暴行事件などの犯罪を抑止するには、逆説的に「正義のために罰」という概念を抑止することが重要となっています。

そこで今回、カリフォルニア大学の研究者たちは約1500人の被験者たちに対していくつかの実験を行い「正義のための罰」を抑えるための効率的な方法を探しました。

すると意外なことに「罰を下すこと」に対して「金銭的な報酬」を与えることが、大きな罰の抑止効果になることが判明しました。

実験においては金銭の授受をともなうリアルな金融ゲームが舞台として設置され、特定の1人が自らの道徳的正義にもとづいて、不正行為を行ったプレーヤーを罰することが許可されました。

しかし興味深いことに、罰を下すことに対して報酬(金銭)が与えられるというルールが加わると、罰を下す意欲が半減することが判明したのです。

罰を下すことで不正が減り報酬までもらえるならば、より熱心に罰を下すようになってもいいはずです。

なのになぜ、報酬は人々から罰する意欲を奪ったのでしょうか?

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