テッポウエビは、衝撃波から自身を守るための「ヘルメット」を装着していた
テッポウエビは、衝撃波から自身を守るための「ヘルメット」を装着していた / Credit: Alexandra C.N. Kingston et al., Current Biology(2022)
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テッポウエビは爪パッチンの衝撃波で気絶しない「ヘルメット」を装着していた! (2/2)

2022.07.07 Thursday

2022.07.06 Wednesday

前ページ自らの衝撃波で気絶しないよう「ヘルメット」を装着していた!

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なぜテッポウエビの「ヘルメット」は衝撃波を防げるのか?

さらに研究を進めると、衝撃波を受けたときヘルメット内側の圧力がヘルメット外側の圧力の約半分しかないことがわかりました。

研究主任のアレクサンドラ・キングストン(Alexandra Kingston)氏は、これが「ヘルメットの衝撃波に対する強い保護効果の証拠である」と指摘します。

衝撃波に対してヘルメットの内側で圧力が下がったということは、衝撃波の圧力をこのヘルメットがどこかへ逃しているということです。

その秘密は、ヘルメットの下側に空いた小さな穴にありました。

このヘルメットは普段は内側が水に満たされています。しかし衝撃波を受けると、この穴から水が噴出して圧力エネルギーを逃がしていたのです。

これにより目やの神経系に衝撃波のダメージが達することを防いでいると考えられるのです。

これは、脳などの神経系を衝撃波から保護する機能を持った生体アーマーシステムの最初の発見です。

キングストン氏は「こうした衝撃波は物体を突き抜けてくるため、軍部が使用する従来のボディーアーマーですら身を守るのは難しい」と説明します。

軍や警察の爆発物処理班などが用いる強固な対爆スーツであっても、目の前で起きる爆発の衝撃に対しては気休めにしかなりません。

爆発物処理の専門家が用いる耐爆スーツ
爆発物処理の専門家が用いる耐爆スーツ / Credit:depositphotos

「しかし、今回判明したテッポウエビのヘルメットをヒントにすることで、他の材料科学者やエンジニア、そして軍部と協力しながら、二次的な爆風エネルギーに対抗しうる保護材料の開発が期待できる」と研究者は述べています。

テッポウエビが備えるヘルメットは、人間のテクノロジーですらまだ実現していない強力な防具の可能性があります。

今、ハリウッドを中心にヒーロー映画ブームが到来していますが、そろそろ”テッポウエビマン”を登場させてもいいかもしれません。

【編集注 2022.07.07 11:00】
記事内の一部表現について、修正して再送しております。

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