キラキラネームの子供は1980年代から増加してきた
キラキラネームの子供は1980年代から増加してきた / Credit:Depositphotos
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個性的な名前は1980年代から40年間にわたって増加している ~地方自治体の広報誌に掲載された新生児の名前を分析~ https://www.tus.ac.jp/today/archive/20220706_3276.html
Unique names increased in Japan over 40 years: Baby names published in municipality newsletters show a rise in individualism, 1979-2018 https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2666622722000132

2022.07.14 Thursday

時代で異なる子どもの名付け変化はいつ起きるのか? キラキラネームは過去40年間増加傾向

子どもの名付け方というものは時代とともに変化していきます。

昭和初期に用いられたような名前を現代で子どもに付けるという人は稀でしょう。

ではこうした名付けの変化はどういったタイミングで始まり、どのように広まっていくものなのでしょうか?

この転換点の目安になりそうなのが、現代の一般的な感覚からみて非常に個性的な名前である「キラキラネーム」の出現です。

この言葉は、2010年ごろから広く使用されてきました。

しかし東京理科大学 教養教育研究院に所属する荻原祐二(おぎはら ゆうじ)氏ら研究チームは、個性的な名前は1980年代から増加していると報告しています。

親が子供に個性的な名前を付けたがる傾向は、40年前から始まっているようです。

研究の詳細は、2022年6月21日付の学術誌『Current Research in Ecological and Social Psychology』に掲載されました。

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キラキラネームは40年も前から増加していた

子どもに個性的な名前を付けたい」親たちによって、キラキラネームは採用されてきました。

このキラキラネームには、非常に珍しい名前、当て字を使った名前、漫画やアニメのキャラクターを当てはめた名前などが該当します。

例えば、七音(どれみ)、主人公(ひーろー)、光宙(ぴかちゅう)といった名前の話題は誰もがネットを中心に見た覚えがあるでしょう。

ネット上ではこうした個性的な名前について、最初「DQN(ドキュン)ネーム」という呼び方が使われていました。

しかし、このDQNという言葉は、教養のない人などを指すネット上のスラングで、非常に侮蔑的な意味を含んでいたため、これに変わる呼び方としてメディアなどを中心に「キラキラネーム」という呼称が2010年代頃から定着していきました。

現在でも、子どもににキラキラネームを名付けたがる親は多いようです。

キラキラネームの増加はいつから?
キラキラネームの増加はいつから? / Credit:Depositphotos

では、キラキラネームはいつから増えてきたのでしょうか?

荻原氏ら研究チームは、過去から現在に至るまでの新生児の名前を調査することで、キラキラネームの増加傾向を明らかにしようとしました。

まず日本各地の地方自治体から、新生児の名前が記載された広報誌を収集。

そこに含まれていた1979~2018年に生まれた新生児の名前5万8485件を分析したのです。

そして、いわゆるキラキラネームと言える「自治体内で1年間に他の新生児の名前と重複していない名前」の割合を算出し、時間の経過に伴う変化も分析しました。

加えて、同様の方法で3年単位の分析も実施しました。

その結果、どちらの分析においても、個性的な名前の割合が増加し続けていると判明。

しかもその増加は、40年前の1980年代から見られていたのです。

キラキラネームという言葉が広まる30年前には、既に個性的な名前が増加していた
キラキラネームという言葉が広まる30年前には、既に個性的な名前が増加していた / Credit:荻原祐二(東京理科大学)_個性的な名前は1980年代から40年間にわたって増加している~地方自治体の広報誌に掲載された新生児の名前を分析~(2022)

つまりキラキラネームの存在自体は、この言葉が定着する少なくとも30年以上も前から増えていたというわけです。

荻原氏の先行研究(2021)では、2004年の時点でキラキラネームが増加していたことがすでに示されていましたが、実際はもっと昔から増加していたようです。

ちなみに1993年には、親が実子に「悪魔(あくま)」と命名しようとして、行政が受理を拒否するという騒動がありました。

当時は衝撃的な出来事として大きな話題を呼びましたが、もしかしたらその背後にも「個性的な名前を付けたい親の増加」があったのかもしれません。

実際、「悪魔」ほどではないにせよ、他の誰もが名付けないような「キラキラネーム」は、下のグラフからも分かるように、当時まさに増加中だったのです。

(黒線)1年間で重複しなかった名前の割合, (緑線)3年間で重複しなかった名前の割合
(黒線)1年間で重複しなかった名前の割合, (緑線)3年間で重複しなかった名前の割合 / Credit:荻原祐二(東京理科大学)ら, Current Research in Ecological and Social Psychology(2022)

また近年の親は子どもに対してより個性的な名前を与えていることも判明しました。

研究チームは今回の研究結果を受けて、「個性や他者との違いを重視し強調する方向に、日本文化が変容(個人主義化)している」と結論付けています。

こうした日本文化の個人主義化を示す知見は、家族構造や価値観の個人主義化を示す知見とも一致しているといいます。

おじいちゃん、おばあちゃんと家族が一緒に暮らすのが当たり前の時代なら、キラキラネームは付けづらいと予想できますが、核家族化が進んだ現代では、若い親が自らの感性で個性的な名前をつける割合は増えるでしょう。

こうした家族構成の変化を含めた社会の変容が、子どもの名前の変化にも現れている可能性があります。

「本多平八郎忠勝」みたいな名前が現代にはないことを考えれば、こうした変化が起きていくのは当然の事かもしれません。

研究者たちは、現在の新型コロナウイルスの蔓延も日本社会に大きな変容を与える要因であると考えており、これが新生児の名づけや日本文化に与える影響についても、今後検証していきたいと述べています。

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