ネアンデルタールのDNAは「薬の効果」を弱めていた⁉︎
ネアンデルタールのDNAは「薬の効果」を弱めていた⁉︎ / Credit: canva
medical
Some of Us Are Part-Neanderthal, And It Could Affect How You Process Medicines https://www.sciencealert.com/being-part-neanderthal-might-make-a-difference-in-how-medications-treat-some-illnesses
The clinically relevant CYP2C8*3 and CYP2C9*2 haplotype is inherited from Neandertals https://www.nature.com/articles/s41397-022-00284-6

2022.07.15 Friday

ネアンデルタール人のDNAを持つ人は「薬の効き方」が弱くなっていた⁉︎

飲み薬は、1回ごとの服用量を正しく守らなければなりません。

量が少なすぎると効果が出ませんし、逆に多すぎると、有害な副作用を起こすリスクが高まります。

しかし一方で、服用量をちゃんと守っても、なぜか薬の効き目の弱い人がいます。

最近の研究によると、その原因は、ネアンデルタール人の遺伝子を受け継いでいるからかもしれません。

スウェーデン・カロリンスカ研究所(Karolinska Institute)はこのほど、ネアンデルタール人と特定の遺伝子を共有する人は、薬を分解するための酵素活性度が低く、一部の医薬品に対して、効き目が悪くなる可能性があると報告。

研究の詳細は、2022年7月2日付で医学雑誌『The Pharmacogenomics Journal』に掲載されています。

ネアンデルタール人との遺伝的交配は5〜6万年前に起こった

ネアンデルタール人は、約40万年前に誕生した旧人類であり、約4万年前に絶滅したとされています。

一方の現生人類(ホモ・サピエンス)は、約20〜30万年前に出現し、今日に至るまで大いに繁栄してきました。

これまでの研究によると、両者の遺伝的交配は、5〜6万年前に複数回起こったとされています。

ネアンデルタール人の男性の頭蓋骨
ネアンデルタール人の男性の頭蓋骨 / Credit: canva

それ以前の約50万年間、2つのグループは互いにほぼ独立して進化してきました。

ネアンデルタール人はユーラシア大陸で、現生人類はアフリカ大陸で。

その間、両者は、それぞれ異なる進化的圧力を受け、それぞれの環境に有利な遺伝子変異が蓄積されました。

ところが、現生人類がアフリカを脱出した5〜6万年前に、ネアンデルタール人と出会い、現代人の遺伝子プールに彼らのDNAが入り込んだのです。

その遺伝子は、DNAシークエンシング(遺伝子配列の決定)の進歩にともない、世界各地の現代人の間で見つかり始めています。

ネアンデルタール人からの遺伝子流入は、神経系や皮膚の色素沈着など、いくつかの形質に影響を与えていることがわかっています。

しかし、ネアンデルタール人の遺伝的流入が人間(ホモ・サピエンス)向けの薬に対してどのような影響を持っているかは、あまり解明されていません。

本研究は、その臨床的影響の理解を深めるものです。

ネアンデルタール人のDNAは臨床的にどんな影響があるのか?
ネアンデルタール人のDNAは臨床的にどんな影響があるのか? / Credit: canva

研究チームは今回、あるDNA領域にあらわれる遺伝子多型(バリエーション)に基づき、ネアンデルタール人のDNAの臨床的影響を調査しました。

「遺伝子多型」とは何かを説明しますと、まず、私たちの細胞には、1つにつき計46本の染色体が含まれています。

両親から1本ずつ受け継いだ染色体が、2本でワンペアとなり、全部で23対あります。そのうちのワンペア(2本)は、男性か女性かを決める性染色体です。

これら染色体は、糸状になったDNAが折りたたまれてできており、ここに数十億の塩基対が収まっています。

(※ 塩基には、A:アデニン、T:チミン、G:グアニン、C:シトシンの4種類がある。これらの塩基配列を、遺伝情報に基づいて、アミノ酸配列に変えることで、特定のタンパク質が合成される)

その大部分には個人差がなく、種内で共通していますが、DNAレベルで見るとバリエーション(DNAを構成する塩基配列の個体差)が生じることがあります。

これが「遺伝子多型」です。

チームは、医薬品の分解に関わる、ある酵素の遺伝子多型に注目しました。

次ページネアンデルタール人のDNAを受け継ぐ人は、一部の薬が効きにくい?

<

1

2

>

医療のニュースmedical news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!