温血動物の誕生の起源が明らかに!
温血動物の誕生の起源が明らかに! / Credit: Romain David and Ricardo Araújo – Mammals were not the first to be warm-blooded(phys, 2022)
paleontology
The Mystery of When Warm-Blooded Mammals Evolved May Finally Be Solved https://www.sciencealert.com/new-fossil-evidence-reveals-when-warm-blooded-mammals-evolved Mammals were not the first to be warm-blooded https://phys.org/news/2022-07-mammals-warm-blooded.html
Inner ear biomechanics reveals a Late Triassic origin for mammalian endothermy https://www.nature.com/articles/s41586-022-04963-z

2022.07.23 Saturday

温血動物の誕生の起源となる化石を特定!

アメリカではよく、冬の寒い時期になると、イグアナが樹上から地面に落っこちて、ピクリとも動かなくなります。

これは、爬虫類が外気温に体温を依存する「冷血動物(外温性)」であり、血が冷えすぎるために起こります。

一方で、私たち哺乳類は、自ら熱を作り出し、体温を安定して維持できる「温血動物(内温性)」です。

そのおかげで、哺乳類は地球上のあらゆる環境で優位な地位を占めることに成功しました。

しかし今のところ、哺乳類の祖先がいつ内温性を獲得したのかは、正確にわかっていません。

そこで、南ア・ウィットウォーターズランド大学(Wits University)を中心とする国際研究チームは、世界中から見つかった「内耳」の化石を用いて、この革命的な進化イベントの発生時期を調査。

その結果、内温性は、約2億年前の三畳紀後期に出現した哺乳類より以前の、約2億3300万年前に哺乳類の祖先において獲得されたことが明らかになりました。

しかし、なぜ「内耳」の化石を調査対象としたのでしょうか?

研究の詳細は、2022年7月20日付で科学雑誌『Nature』に掲載されています。

なぜ「内耳」を調べなければならないのか?

内耳とは、耳のもっとも奥にある器官で、聴覚を機能させるための蝸牛と、平衡感覚を司る三半規管を含んでいます。

三半規管は、三次元の空間に広がっており、その中を「リンパ液」という液体が流れています。

頭や体を動かしたときにリンパ液の流れが変わることで、前後・左右・上下といった体のバランス情報が得られるのです。

このリンパ液の粘性、いわば”流れやすさ”は、三半規管が頭の動きや回転を効率的に検出し、平衡感覚を維持するために欠かせない指標となっています。

リスザルの内耳。青:骨部分、赤色:軟組織
リスザルの内耳。青:骨部分、赤色:軟組織 / Credit: Romain David – Mammals were not the first to be warm-blooded(phys, 2022)

そして、リンパ液は他の液体とどうように温度によって”流れやすさ”が変化します。

ハチミツが、冷たい場所では固くなり、温かい場所ではサラサラになるのをイメージするとわかりやすいかもしれません。

そのため、生物のもつ内耳の大きさは、その生物の体温によって異なってきます。

これまでの研究によると、冷血動物の場合、「平均体温が低い=リンパ液がドロドロ」なので、リンパ液が詰まらないよう、三半規管は大きい傾向があるとわかっています。

反対に、温血動物の場合、「平均体温が高い=リンパ液がサラサラ」なので、そもそもリンパ液が詰まりにくく、三半規管は小さくて済むのです。

温血動物と冷血動物の「内耳」の違い
温血動物と冷血動物の「内耳」の違い / Credit: Romain David and Ricardo Araújo – Mammals were not the first to be warm-blooded(phys, 2022)

こうした理由で、生物の内耳のサイズから、その生物がどんな体温をしているか推測することができるのです。

以上の知見をもとに、研究チームは、世界中から集めた哺乳類の祖先の「内耳」を調べ、三半規管のサイズ変化から、内温性の発生時期を特定することにしました。

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