死んだクモの脚を自在に開閉できるシステムを開発
死んだクモの脚を自在に開閉できるシステムを開発 / Credit: RICE UNIVERSITY News and Media Relations – Rice engineers get a grip with ‘necrobotic’ spiders(2022)
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Rice engineers get a grip with ‘necrobotic’ spiders https://news.rice.edu/news/2022/rice-engineers-get-grip-necrobotic-spiders
Necrobotics: Biotic Materials as Ready-to-Use Actuators https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/advs.202201174

2022.07.27 Wednesday

クモの死体を自在に操作! 工学的死霊術「ネクロボティクス」が登場!

死者を自在にあやつる術を「ネクロマンシー(Necromancy)」と呼びますが、この奇術がロボット工学にて実現したようです。

米ライス大学(Rice University)のエンジニアチームはこのほど、死んだクモに針を刺して、8本の脚を自在に開閉できるシステムを開発しました。

このシステムは、小さな物体や部品をつかむ「マイクログリッパー」としての応用が期待されています。

しかし、どうやって死んだクモの脚を開いたり、閉じたりするのでしょうか?

研究の詳細は、2022年7月25日付で科学雑誌『Advanced Science』に掲載されています。

なぜクモの脚は死んだ後に丸まるのか?

本プロジェクトは、研究主任のダニエル・プレストン(Daniel Preston)氏が、2019年に同大の機械工学科に研究室を設立した直後にスタートしました。

氏は、金属や電子機器、硬質プラスチックといった従来の材料には目もくれず、ハイドロゲルやエラストマー(ゴムのような弾性を持つ材料)などを空気圧や化学反応で作動させる、ソフトロボティクスを専門としています。

その中で、プレストン氏が新たに注目しているのが、”死んだ生物の体を動かすロボット工学”です。

彼は、この未開拓の分野を「ネクロボティクス(Necrobotics)」と呼んでいます。

プレストン氏(左)とヤップ氏(右)
プレストン氏(左)とヤップ氏(右) / Credit: RICE UNIVERSITY News and Media Relations – Rice engineers get a grip with ‘necrobotic’ spiders(2022)

共同研究者のフェイ・ヤップ(Faye Yap)氏は、ネクロボティクスの第一弾として、クモを使うことになったキッカケについて、こう話しています。

「研究室で作業をしている際、廊下の端にあるクモの死骸に気づきました。

そのとき私たちは、なぜクモの脚が死んだ後に丸まるように縮むのか、とても興味を抱いたのです。

その答えはすぐにわかりました。

クモには、人間の上腕二頭筋や三頭筋のような、二の腕を自由に曲げ伸ばしできる筋肉がありません。

クモにあるのは屈筋(くっきん)という(曲げる専門の)筋肉だけで、これにより、脚を内側に曲げられますが、伸ばすことはできません。

その代わり、クモは体内の”水圧”をコントロールすることで、脚を外側に開くことができます。

しかしクモが死ぬと、水圧を制御する機能が失われ、脚は自然と丸まってしまうのです」

死んだクモの脚が丸まるのは、もはや水圧を制御できなくなったため
死んだクモの脚が丸まるのは、もはや水圧を制御できなくなったため / Credit: Rice University – Lab manipulates deceased spiders’ legs with a puff of air to serve as grabbers(youtube, 2022)

プレストン氏とヤップ氏は、このメカニズムに感心し、ロボット工学に応用することを思いついたといいます。

では、実際に両氏が開発した”ネクロボット(Necrobot)”を見ていきましょう。

次ページ体内の空気圧を操って、脚を自在に開閉する!

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