1つのVRアバターを2人で分担して操作する
1つのVRアバターを2人で分担して操作する / Credit:Toyohashi University of Technology(豊橋技術科学大学)(YouTube)_左右の腕を2人が独立して操作するバーチャルアバターの身体性(2022)
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左右の腕を2人が独立して操作するバーチャルアバターの身体性 ~他者が操作する腕の動きの意図を知ることがその腕の自己身体感を高める~(PDF) https://www.tut.ac.jp/docs/PR220727.pdf
Knowing the intention behind limb movements of a partner increases embodiment towards the limb of joint avatar https://www.nature.com/articles/s41598-022-15932-x

2022.08.01 Monday

バーチャル二人羽織 他者が操作する腕を自分の体に感じられるか?

二人羽織は、背後に隠れた人が前の人に食事させる余興です。

これは、1つの体を2人で分担して操作することの難しさを、コミカルに表現した昔ながらのネタだと言えます。

しかし最近では、ロボット技術やVR技術の向上により、自分の体の一部を他者が操作することが、ネタではなく、現実にあり得る状況となってきました。

そこで、豊橋技術科学大学に所属する北崎 充晃(きたざき みちてる)氏ら研究チームは、2人の人間がVR上で1つのアバターを共有したときの「自己身体感(自分の体だと認める感覚)」を調査することにしました。

この実験により、他者が操作する腕を自分の身体のように感じるための秘訣が明らかになっています。

研究の詳細は、2022年7月26日付の科学誌『Scientific Reports』に掲載されました。

1つのVRアバターを2人で分担して操作すると「自分の体」だと思える?

左半身と右半身を別々の人が操作する「二人羽織」みたいな実験
左半身と右半身を別々の人が操作する「二人羽織」みたいな実験 / Credit:Toyohashi University of Technology(豊橋技術科学大学)(YouTube)_左右の腕を2人が独立して操作するバーチャルアバターの身体性(2022)

研究チームは、1つのVRアバターを2人で分担して操作したときの自己身体感を調査しました。

バーチャル二人羽織」とも言える状態で、協力してタスクをこなしてもらったのです。

ただこの記事では二人羽織と表現しましたが、実際実験で行われているのは、左右の半身をそれぞれ別の人が操作するというものです。

つまり、右手を含む右半身をある人が操作し、左手を含む左半身を別の人が操作したのです。

1つ目の実験では、アバターの腕にナイフが刺さるときの「皮膚コンダクタンス反応」が測定されました。

VRアバターの腕にナイフが刺さったときの反応を調べる
VRアバターの腕にナイフが刺さったときの反応を調べる / Credit:北崎充晃(豊橋技術科学大学)ら, Scientific Reports(2022)

皮膚コンダクタンス反応とは、ストレスで生じた発汗に伴う電気的変化を評価したものです。

よく緊張する場面のことを「手に汗握る」と表現するように、私たちがストレスを感じるときには、発汗が促されるものです。

皮膚コンダクタンス反応は、この発汗によって対象者がどれほどストレスを感じているか調べる手法なのです。

ちなみに皮膚コンダクタンス反応は、うそ発見器などにも利用されているようです。

VRアバターにナイフを刺す場面で皮膚コンダクタンス反応を調べるなら、本人がアバターの体をどれほど自分の体のように感じているか知ることができるでしょう。

また同様の観点で、自分が操作している腕と他者が操作している腕に対する感じ方の違いも知ることができます。

皮膚にあらわれるストレスのサインから、アバターの身体部位に対する自己身体感の程度が分かる
皮膚にあらわれるストレスのサインから、アバターの身体部位に対する自己身体感の程度が分かる / Credit:Canva

実験の結果、皮膚コンダクタンス反応は、他者が操作する腕と比較して、自分で操作する腕の方が有意に高くなりました。

つまり、この実験で分かるのは、自分で操作する腕の方が危機感を覚えやすく、自分の体として認識しやすい、ということです。

では、他者が操作する腕に対して、自己身体感を高めるにはどうすればよいのでしょうか?

その秘訣は、もう1つの実験で明らかになりました。

次ページ意図を共有し、目標物を視認できれば「他者が操作する腕」の自己身体感は高まる

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