引っ張ると色が変わる素材
引っ張ると色が変わる素材 / Credit:Benjamin Harvey Miller(MIT)_Engineers repurpose 19th-century photography technique to make stretchy, color-changing films(2022)
technology
Engineers repurpose 19th-century photography technique to make stretchy, color-changing films https://news.mit.edu/2022/structural-color-changing-photography-0801
Scalable optical manufacture of dynamic structural colour in stretchable materials https://www.nature.com/articles/s41563-022-01318-x

2022.08.04 Thursday

伸び縮みで色が変化する! 「柔軟な構造色新素材」が開発される

時折、「時代がまだ追い付けない技術」が生まれるのものです。

その時代には活躍しなくても、他のさまざまな技術や材料が生まれてから、後に真価を発揮することもあるわけです。

最近でも、アメリカ・マサチューセッツ工科大学(MIT)機械工学科に所属するベンジャミン・ミラー氏ら研究チームが、19世紀の写真技術を再利用することで、カメレオンのように色が変化する新素材を開発することに成功しました。

伸縮性のあるフィルム素材であり、伸びることで色が大きく変化するため、さまざまな分野への応用が期待されています。

研究の詳細は、2022年8月1日付の科学誌『Nature Materials』に掲載されました。

リップマンのカラー写真

世界最初のカラー写真は、1861年にイギリスの物理学ジェームズ・クラーク・マクスウェル氏によって考案されました。

の三原を使ったカラー写真は現代技術の基盤ともなっています。

しかし、別の方法でカラー写真を生み出した人もいました。

それが、ルクセンブルクの物理学者ガブリエル・リップマン氏です。

ガブリエル・リップマン氏(左)とリップマン氏が考案した技法で撮ったカラー写真(右)
ガブリエル・リップマン氏(左)とリップマン氏が考案した技法で撮ったカラー写真(右) / Credit:Nobel Foundation(Wikipedia)_ガブリエル・リップマン

彼は、光の干渉を利用して写真に色を再現する方法を考案し、1908年にノーベル物理学賞を受賞しました。

リップマンのカラー写真は、ほぼ透明な写真乳剤(光に反応する物質)の後ろに鏡を置き、その乳剤に光を当てることでつくられます。

これにより入射光と反射光が干渉。その効果を利用して色を付けるのです。

この方法でつくられた写真には、顔料や染料が含まれておらず、一定の角度から見ることで、鮮明なカラーが再現されます。

こうした実際には色が塗られていないのに、光の回析などを利用して生み出された色は構造色と呼ばれます。

20世紀の初頭に、すでに構造色で色を付ける技術が実用化していたんですね。

ただし、乳剤を手作業で作り、十分に光を当てるために何日も待たなければいけませんでした。

そのため優れた技法でしたが、手間が大きく、結局は歴史の中に埋もれてしまったようです。

ところが最近になって、ミラー氏ら研究チームが、リップマンの技法に目を付けました。

当時の技術では手間がかかるものでしたが、最新の科学技術を利用すれば、素早く、そして写真以外の分野にも応用できると考えたのです。

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