毛根の中心「毛包」を効率的に人工培養することに成功!
毛根の中心「毛包」を効率的に人工培養することに成功! / Credit:TATSUTO KAGEYAMA et al . Reprogramming of three-dimensional microenvironments for in vitro hair follicle induction (2022) . Science Advances . ナゾロジー編
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毛根の中心「毛包」を効率的に人工培養することに成功! (2/2)

2022.10.24 Monday

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人工培養された毛包は移植後に自然な抜け変わりをするようになる

人工培養された毛包は移植後に自然な抜け変わりをするようになる
人工培養された毛包は移植後に自然な抜け変わりをするようになる / Credit:生体外で高効率に長毛を生み出す毛包オルガノイドの作製技術を開発―白髪や脱毛症の治療薬開発、毛髪再生医療に期待―

人工培養された臓器が生物の体の内部でも機能するかは重要な問題です。

そのため人工培養臓器(オルガノイド)を作成する研究では、しばしば作成された臓器や組織を体内に移植し、機能を維持し続けるかどうかが調べられます。

今回の研究では上の図のように、培養6日目の未熟な包を毛のないヌードマウスの皮膚に移植されました。

すると未熟な毛包はマウス皮膚で定着すると完全な毛包へと成熟し、毛の抜け変わりなどのサイクルを数回、10カ月以上にわたり繰り返したことが観察されました。

この結果は、幹細胞から人工的に培養された毛包が、マウスの皮膚で本物の毛包のように機能できることを示します。

横浜国立大学では以前から毛包の元となる毛包源基(ダンベル構造)の大量生産技術を開発しており、移植にも成功していた。図はそのときの移植実験のもの。一方今回は高効率での毛包生成が実現している
横浜国立大学では以前から毛包の元となる毛包源基(ダンベル構造)の大量生産技術を開発しており、移植にも成功していた。図はそのときの移植実験のもの。一方今回は高効率での毛包生成が実現している / Credit:「再生毛髪の大量調製革新技術開発」プロジェクト

研究者たちは今後、大本の材料となるマウス胚性幹細胞(ES細胞)をヒト多能性幹細胞(iPS細胞)へと置換する方法を解明していくとのこと。

人間の毛包オルガノイドをiPS細胞から作成することができるようになれば、移植用の毛包を大量生産できるようになるだけでなく、創薬や再生医療などの分野において人体実験の代替品として使うことが可能になるでしょう。

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