4億年前のちっぽけな魚が脊椎動物の進化の見方を変えた

animals_plants 2018/06/10
Credit: Brian Choo / 古代魚のイメージ
Point
・4億年前の魚Ligulalepisの3次元構造を保った頭蓋骨の化石が見つかる
・CTで頭蓋骨の化石を調べ、脳などの器官を再現することに成功
・Ligulalepisは初期の硬骨魚類の祖先であることがわかる

“eLife”に発表された論文で、立体形状が残った“Ligulalepis”という4億年前の魚の化石に関する研究が発表されました。この魚の頭蓋骨の3次元形状がわかったことで、皮膚頭蓋骨のパターンや脳室の形、その他の軟組織(神経や血管)の特徴が明らかになったのです。Ligulalepisは脊椎動物の系統樹で非常に重要な位置を占めており、脊椎動物の進化の見方を変える発見となりました。

Neurocranial anatomy of an enigmatic Early Devonian fish sheds light on early osteichthyan evolution
https://elifesciences.org/articles/34349

魚類は脊椎動物の中で最も多様で、知られているだけでも約30,000種類もあります。その中でも多数派は「硬骨魚類」で、おおよそ98%を占めています。その中にヒレが骨で支えられている条鰭類(じょうきこう)があります。一方で、肉状のヒレを持つ肉鰭類(にくきるい)があり、肺魚やシーラカンスがそこに含まれます。肉鰭類が重要なのは、最初の四足動物がそこから進化したからです。

Credit: FASTILY / 骨格の硬骨化と身体の軽量化を共に果たした条鰭類は、最も多様な種分化を遂げた脊椎動物

最初にLigulalepisの化石が見つかったのは20年前。ニューサウスウェールズのウィー・ジャスパーで、石灰岩の中から頭蓋骨が見つかりました。系統樹のどこにこの不思議な魚が位置するのか、議論を巻き起こしましたが、はっきりしたことはわかりませんでした。2年前、フリンダース大学の学生ベネディクト・キングが新たな頭蓋骨を発見しました。それは、3次元構造が保持されており、最初の標本よりも完全な状態で残っていました。そこから、電気受容器孔が見つかっています。

新たな研究では、これらの頭蓋骨化石に焦点を当てています。微小CTスキャンを使ってLigulalepisの頭蓋骨の構造を調査した結果、奇妙な特徴を合わせ持つことがわかりました。内耳孔の形等は、サメなどの軟骨魚類と特徴が似ています。一方全体の脳室の形などは、明らかに硬骨魚類の特徴を持っていました。また、Skull Roofと呼ばれる部分のパターンは、意外なことに絶滅した板皮類の特徴を持っていたのです。

CTのデータから再構築されたLigulalepisの脳は、次の動画で見ることが出来ます。

Ligulalepisが系統樹のどこに位置するのかは様々な説がありましたが、今回の発見から、硬骨魚類に別れた幹の部分であるという説が支持されています。系統樹のこの位置にあるということは、条鰭類や肉鰭類へと分かれる前の先祖に関する研究が、大きく進む可能性があります。また、我々人類を含む硬い骨を持つ全ての生き物が、その初めにどの様に進化して広まったかを理解する助けにもなるでしょう。

 

多くの魚類が属する条鰭類(じょうきこう, Actinopterygii)が分岐したのは3億9千万年前です。一方、肉鰭類(にくきるい,  Sarcopterygii)はもっと古く4億3前年前の化石が中国で見つかっています。Ligulalepisは、Guiyuの属するpsarolepidsに最も近い種であることが今回の解析でわかりました。これは、初期の硬骨魚類が中国を起源として広まり、東ゴンドワナ大陸を介して移動したという仮説を支持する結果となっています。

 

これまでの想定よりずっと複雑だった、硬骨魚における進化の系譜。私たちの遠い起源における正確な理解をもたらす古生物学の重要性を、改めて示しています。

 

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via: theconversation / translated & text by SENPAI

 

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