他人の動きの予測が外れると、自分の動きが無意識に変化する「運動伝染」が発見される

brain 2018/05/31
Credit:NICT/研究の概要
Point
・他人の動作への予測誤差によって、自分の動作が無意識に変化する運動伝染を発見
・予測誤差が生じると、その誤差を修正するような動作を行うことが分かった
・運動トレーニングやリハビリなどへの応用が期待される

 

NICT脳情報通信融合研究センターらの共同研究チームは、他人の動作に対する予測が外れることで自分の動作が無意識に変わってしまう、新たな運動伝染を発見しました。

運動伝染とは、スポーツを観戦してる際に選手の動きを真似してしまうように、他人の動きを見ることで自分の動作が無意識に影響を受けることです。

実験では、野球のピッチャーが1~9の数字が書かれたターゲットの右上(3番)ばかりにボールを投げている動画を、被験者に見せました。被験者のあるグループには、投球動画を見せるときに「ピッチャーは様々な場所を狙っている」と伝えて被験者の予測誤差がない、すなわち予測が外れることがないようにしました。また、他のグループでは、「ピッチャーは中心(5番)を狙っている」と伝えて被験者に予測誤差を生じさせました。

Credit:NICT/被験者が行った運動課題(A)と観察課題(B)

動画視聴後に、動画から受ける影響を調査するため、被験者は動画と同じような状況でターゲットの中心を狙って投球。また、投球した瞬間にゴーグルで視界を遮断して、その後の投球を修正することがないようにしました。

実験の結果、予測誤差がある場合は、投球が左下にずれていき、予測誤差を修正するかのような動作を行っていました。また、予測誤差がない場合は、動画のピッチャーと同じようにターゲットの右上へ投球がずれていきました。

Credit:NICT/被験者の投げたボールの位置の変化

科学者らは、被験者の脳が、他者であるピッチャーが修正するべき誤差を、まるで自分の動作の誤差のように処理してしまっている可能性を示唆しました。また、今回の研究で、運動伝染には他人の動作を模倣する変化と、予測誤差を修正する変化の2通りが存在することが分かりました。

この研究は今後、効率的な運動トレーニングシステムやリハビリの開発が期待され、実用化に向けて研究が進められる予定です。

 

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via: NICT / text by ヨッシー

 

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