星を食べ過ぎたブラックホールは一体どうなるのか?宇宙で最も凶暴なイベント“TDE”

space 2018/06/03

Point
・銀河の中心のブラックホールが星を吸収するTDEという強い放射を伴う現象が観察されている
・理論モデルを作ることでこの現象で観察される放射の多様性を説明
・観察者のとる角度によって多様性がもたらされる

 

恐らくこれは、宇宙で一番バイオレンスなイベントです。疑いもせずさまよい近づいてきた星を、銀河の真ん中にある超巨大ブラックホールがその重力で引き裂く現象を、タイダルディスラプションイベント(TDE)と呼びます。

コペンハーゲン大学のニールス・ボーア研究所とカリフォルニア大学サンタクルーズ校によって新たに統合されたモデルによって、近年行なわれたTDEの観測結果について、理論領域での新しい見方を生み出しました。研究は29日、“Astrophysical Jounal Letters”に掲載されました。

A Unified Model for Tidal Disruption Events
http://iopscience.iop.org/article/10.3847/2041-8213/aab429/pdf

TDEと他の天文現象を区別できるようになったのは、最近10年になってから。新しいモデルによってこれらの稀なイベントを理解する基本的な枠組みができました。

Credit: University of Copenhagen

ほとんどの銀河では、中心にあるブラックホールは休眠状態であり、物質を活発に吸収して光を放射することはありません。TDEは稀なイベントで、通常の銀河では1万年に一度しか起きません。

しかし、不幸な星が引き裂かれる時、ブラックホールは星間物質を「食べ過ぎ」、強烈な放射を放出するのです。コペンハーゲン大学の准教授で筆頭著者であるリシン・ダイいわく、「ブラックホールが星間ガスを食べているときに多量の放射があるのです。私たちが観察できるのはこの放射で、その観察から、物理的仕組を理解しブラックホールの性質を計算できるのです」

同じ物理法則がすべてのTDEに起こることが予想される一方で、現在までに約2ダースの観測がされています。しかし、その特徴には幅広いバリエーションが見られます。あるものは殆どがX線の放射で、またあるものは可視光や紫外線の放射です。

理論家たちはこの多様性を理解し、異なったパズルのピースを一貫したモデルに統合しようと調査を重ねました。一般相対性理論、磁場、放射とガス流体力学を組み合わせた新たなモデルでは、観測者が見ている角度によって、観測の違いが生み出されるとのこと。

「猛獣の一部を覆うカバーがあるようなものです。ある角度からは露出された猛獣を、他の角度では覆われた猛獣を見ています。同じ猛獣を見ているのですが、視点が異なっているのです」と、コペンハーゲン大学の共著者エンリコ・ラミレスルイス氏は説明しています。

 

説明不可能。宇宙で一番速く成長する謎の巨大ブラックホールを発見

 

via: Daily Mail/ translated & text by SENPAI

 

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