間違った情報を共有している現象「マンデラ効果」
間違った情報を共有している現象「マンデラ効果」 / Credit:Canva
psychology

偽りの情報が共有される「マンデラ効果」の研究

2022.12.27 Tuesday

なぜか世界中の多くの人々が誤った情報を共有してしまうマンデラ効果。(※学術用語ではありません)

インターネットで情報が素早く行き渡り、多くの人々が情報の監視やチェックを行う現代においても、多くの人々がなぜか誤認している情報というものが存在ます。

これはなぜなのでしょうか?

アメリカ・シカゴ大学(University of Chicago)の心理学者ウィルマ・ベインブリッジ氏ら研究チームは、視覚的なマンデラ効果について学術的な観点で検証しました。

詳細は、2021年5月25日付のプレプリントリポジトリサービス『PsyArXiv』で発表されています。

New study seeks to explain the ‘Mandela Effect’ – the bizarre phenomenon of shared false memories https://theconversation.com/new-study-seeks-to-explain-the-mandela-effect-the-bizarre-phenomenon-of-shared-false-memories-188269
The Visual Mandela Effect as evidence for shared and specific false memories across people https://psyarxiv.com/nzh3s/

偽情報の共有「マンデラ効果」

マンデラ効果」とは、南アフリカの指導者ネルソン・マンデラに由来して名付けられた現象です。

彼は2013年まで生存していましたが、なぜか大勢の人は、「マンデラ氏は1980年代に獄中死した」と誤って記憶していました。

この「偽情報が強力に共有された現象」は「パラレルワールドの記憶だ」などとオカルトめいた空想とともにインターネットで話題になりました。

ここ学術用語ではありませんが、非常に興味深い現象であるとして「マンデラ効果」という用語が生まれたのです。

大勢が間違った情報を記憶しているのはなぜ?
大勢が間違った情報を記憶しているのはなぜ? / Credit:Canva

この現象の面白い点は、通常個人の体験に基づく主観的なものである「記憶違い」が、世界中の人の間で共有されていることです。

有名なガンダムのセリフでも、「足なんて飾りです。偉い人にはそれがわからんのです」「おかしいですよカテジナさん」というのは作中の正確なセリフの言い回しじゃないと言われて、視聴済みの人でも困惑したことがあるのではないでしょうか?

しかし情報の間違いは、普通大勢の人間が関われば容易に修正されるはずです。

なぜ、マンデラ効果は発生するのでしょうか? 他にも同様の事例は存在するのでしょうか?

ベインブリッジ氏ら研究チームは、視覚的なマンデラ効果に着目し、理解を深めるための研究を実施しました。

次ページ視覚的なマンデラ効果は「常識による記憶補填」で生まれる

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