線虫がナルコレプシー(過眠症)に!? 睡眠とグリア細胞の関係が明らかに

biology 2018/06/05
 
Point
・グリア細胞 “CEPsh” を持たない線虫の行動が眠ったかのように変化した
・グリア細胞が「眠り」のコントロールに重要な働きをしている

なぜ私たちが眠るのか、その理由はまだ分かっていません。今回 “Cell Reports” に掲載されたロックフェラーの科学者による線虫を使った研究が、その謎を解く手がかりとなる可能性があります。神経を支えているだけだと思われていたグリア細胞が、睡眠と関わりがあるようです。

Glia Modulate a Neuronal Circuit for Locomotion Suppression during Sleep in C. elegans
https://www.cell.com/cell-reports/fulltext/S2211-1247(18)30217-1

C.elegansは研究に使われている線虫で、神経回路やシナプスが全て明らかになっているため、神経系の研究によく使われています。問題のグリア細胞 “CEPsh” は、線虫の脳に当たる部分でシナプスを取り囲んでいます。

そこで、「CEPsがない線虫」を作って、その行動を観察しました。すると、線虫が数秒から数分にかけて動きを止めるようになったのです。線虫はふつう常に動き回って餌を探すので、この動きは普通ではありません。まるで、日中急に眠ってしまう病気、ナルコレプシーに線虫がかかったかのようでした。また、線虫は脱皮するときにしばらく動きを止め、まるで眠っているかのようになる “lethargus” という状態が知られています。この状態も、普通の線虫よりも早い時期におこりかつ、長くなっていました。つまり、グリア細胞 “CEPsh” のない線虫は眠った様になる傾向が強くなるのです。

▲Credit: eurekalert / 右のグリア細胞がない線虫は、突発的に動きを止めている

研究者たちはまた、グリア細胞がない線虫の「眠っている間の成長」が普通の線虫よりも遅いことに気がつきました。つまり、健康な睡眠パターンが正常な成長に欠かせないことが示唆されたのです。

さらに研究者たちは、この “CEPshグリア細胞” が囲んでいるALA神経に注目しました。眠りに関わっているとされるこの神経は、動きを司るAVE神経とつながっており、その調整をしています。ALAはAVEに対して抑制的に働くので、ALAが活性化すると、線虫が動かなくなります。実験で “CEPsh” の無い線虫でALA神経を除くと、眠りに関わる奇妙な動き、つまり止まったり “lethargus” が長くなったりすることがなくなりました。つまり、“CEPsh” がないと、ALAが活発になって常にAVEの働きを妨げることになり、眠ったような行動を促すのです。

神経を支えるだけと思われていたグリア細胞が眠りをコントロールしていることが今回の研究で明らかになりました。私たちは人生の3分の1を眠りに費やします。しかし、眠りが何の役に立っているのか、また、どのような仕組みなのかは分かっていません。今回の発見は、眠りを科学的に理解するための大きな一歩であるといえます。

 

魂が宿る!?ロボットに虫の神経回路を移植して動かすことに成功

 

via: Science Daily, eurekalert/ translated & text by SENPAI

 

関連記事

やられたメンタルを治療してくれる寄生虫がみつかる

25年間ヘビの毒を趣味でキメてきた男、その体が血清の宝庫となってしまう

SHARE

TAG

biologyの関連記事

RELATED ARTICLE