光を99.98%以上吸収する「至高の暗黒シート」が開発される
光を99.98%以上吸収する「至高の暗黒シート」が開発される / Credit:雨宮邦招(産総研)_光を99.98%以上吸収する至高の暗黒シート(2023)
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目がバグった!? 99.98%以上の光を吸収する「至高の暗黒シート」を開発!

2023.01.20 Friday

近年、光をほとんど反射しない黒色塗料や黒色シートに注目が集まっています。

エンタメ関連で話題に上ることが多いですが、これらの素材は映像や光センサー、カメラなどの分野で貴重な働きをしてくれます。

そして最近、産業技術総合研究所(以下「産総研」)に所属する雨宮邦招氏ら研究チームが、極限まで反射率を抑えた「至高の暗黒シート」を発表しました。

触っても崩れない耐久性を有する素材としては「世界一の黒さ」であり、可視光を99.98%以上も吸収してくれます。

研究の詳細は、2023年1月13日付の科学誌『Science Advances』に掲載されました。

光を99.98%以上吸収する至高の暗黒シート https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2023/pr20230118/pr20230118.html
Supreme-black levels enabled by touchproof microcavity surface texture on anti-backscatter matrix https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.ade4853

「究極の黒さ」を超えて「至高の黒さ」へ

をほとんど反射させずに吸収してしまう黒は、自然で目にすることはないため私達の視覚にはとても不思議なものに映ります。

例えば、以前話題になった水性アクリル塗料「黒色無双」は塗布面がまるで加工された画像のように見えます。

吸い込まれそう。光吸収率99.2%の水性アクリル塗料「黒色無双」が発売中

こうした塗料や材料は、装飾、映像、太陽エネルギー利用、光センサーの分野で幅広く用いられてきました。

特にカメラや光分析装置などの用途では、完全に光を吸収する黒色材料(「黒体」と呼ばれる)を用いるのが理想です。

しかし、そのような物体は現実に存在しないため、科学者たちはできるだけ黒体に近い物質を生み出せるよう研究を続けています。

その結果、現在までに光を99.9%吸収する黒体に近い材料が誕生してきました。

ところが、それら反射率の極めて低い素材は非常に脆く、一般環境での利用が困難でした。

そのため科学者たちの目標は、耐久性のある黒体に近い材料を開発することです。

そして2019年に産総研は、耐久性に優れ、99.5%以上の光を吸収する「究極の暗黒シート」の開発に成功

究極の暗黒シート
究極の暗黒シート / Credit:雨宮邦招(産総研)_全ての光を吸収する究極の暗黒シート(2019)

この究極の暗黒シートは、紫外線~可視光~赤外線の全域で99.5%以上の光を吸収できるという優れものです。

しかし研究チームは、もっと反射率を抑えて黒体に近づける研究を続けました。

その結果、今回の可視光の99.98%以上を吸収する「至高の暗黒シート」の開発に至ったのです。

次ページ可視光の99.98%を吸収し耐久性に優れた素材「至高の暗黒シート」

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