新しい紙ストローは水に浸してもふやけない
新しい紙ストローは水に浸してもふやけない / Credit:Dongyeop X. Oh(KRICT)et al., Advanced Science(2022)
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水が染み込まない新しい紙ストロー (2/2)

2023.02.05 Sunday

前ページ従来の紙ストローはふやけてしまう

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生分解性100%の「ふやけない紙ストロー」

研究チームは、紙ストローに使用されているコーティングを改良することにしました。

生分解性をもつポリブチレンサクシネート(PBS)に、少量のセルロースナノクリスタル(CNC)を加えたのです。

(上)新しく開発されたPBS/BS-CNCストロー、(下)PBS/BS-CNC コーティング フィルムは、引っ張ったりねじったりしても、元の形状に戻る
(上)新しく開発されたPBS/BS-CNCストロー、(下)PBS/BS-CNC コーティング フィルムは、引っ張ったりねじったりしても、元の形状に戻る / Credit:Dongyeop X. Oh(KRICT)et al., Advanced Science(2022)

セルロースとは植物細胞壁の主成分であり、もともとは紙と同じ素材です。

当然、生分解性をもち、最終的には水と二酸化炭素に分解されます。

チームはこのセルロースからナノサイズの結晶材料(CNC)を抽出し、PBSに追加しました。

CNCは紙と性質が非常によく似ているため、PBSの弱点だった「紙への接着性」を高めることを期待したのです。

いくらかの調整の後に生まれたコーティング「PBS/BS-CNC」は、従来品よりも紙に対して高い接着性を示し、均一なコーティングが可能になりました。

耐久性のテスト。(上)PBSストロー、(下)PBS/BS-CNCストロー
耐久性のテスト。(上)PBSストロー、(下)PBS/BS-CNCストロー / Credit:Dongyeop X. Oh(KRICT)et al., Advanced Science(2022)

そして研究チームは、PBS/BS-CNCでコーティングされた紙ストローの耐久性を試しました。

冷たい飲み物や温かい飲み物、また様々な種類の飲み物(水、お茶、炭酸飲料、牛乳、脂質を含む飲料)をかき混ぜたり、長時間浸したりしても、ストローはふやけませんでした。

また、5℃の冷水に1分間浸した後、50g以上の重りをつけてもあまり曲がらないと判明。

一方、PBSストローは、同じ条件で25gの重りにさえ耐えられず、大きく曲がってしまいました。

海洋での分解テスト。上からプラスチックストロー(Plastic straw)、従来の紙ストロー(Conventional paper straw)、PLAストロー(PLA straw)、新しいPBS/BS-CNCストロー(Eco-friendly paper straw)
海洋での分解テスト。上からプラスチックストロー(Plastic straw)、従来の紙ストロー(Conventional paper straw)、PLAストロー(PLA straw)、新しいPBS/BS-CNCストロー(Eco-friendly paper straw) / Credit:Dongyeop X. Oh(KRICT)_Development of 100% biodegradable paper straws that do not become soggy(2023)

さらに、海洋生分解性を試すテストでは、プラスチックストロー、従来の紙ストロー、PLAストロー(トウモロコシ素材)、今回のPBS/BS-CNCストローを実際の海岸(1.5-2mの深さ)で、海水に浸し続けました。

その結果、プラスチックストローとPLAストローは、120日経っても分解されませんでした。

そして非生分解性プラスチックでコーティングされたであろう従来の紙ストローは、総重量のわずか5%しか減りませんでした。

しかし新しいPBS-CNCストローは、60日後に50%以上が減り、120日後には完全に分解されました。(PBSだけのストローも、同じく完全に分解されました)

新しい紙ストローは、土だけでなく海でも100%生分解し、使用中にふやけることもないのです。

近い将来、現在の「使いにくい紙ストロー」に取って代わることを期待したいものです。

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