米軍DARPAが軍用ドローンシステムの開発を求める
米軍DARPAが軍用ドローンシステムの開発を求める / Credit:Canva
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米軍DARPAの「数千機のドローンによる協調攻撃を可能にする計画」

2023.02.06 Monday

ロシアとウクライナの戦争で明らかなように、ドローンは既に戦争の道具として利用されています。

そして最近のニュースは、「兵器としてのドローン」が今後さらに拡大することを示唆しています。

2022年11月28日、アメリカ国防高等研究計画局(DARPA)が、ドローン兵器のプロジェクト「AMASS」を公開し、そのための技術開発を業界に求めたのです。

このプロジェクトでは、敵地で活動する数千の無人機を連携させるシステムを開発する予定であり、総額7800万ドル(約100億円)が投入されます。

Autonomous Multi-domain Adaptive Swarms-of-Swarms (AMASS) https://sam.gov/opp/cb00e5745696482882aef160ae206f74/view DARPA Posts Presolicitation Notice for Autonomous Multi-Domain Adaptive Swarms-of-Swarms Program https://blog.executivebiz.com/2022/11/darpa-posts-presolicitation-notice-for-amass-program/ Military researchers ask industry to enhance unmanned vehicle swarms for enemy reconnaissance and attack https://www.militaryaerospace.com/unmanned/article/14288384/unmanned-swarms-reconnaissance-and-attack

アメリカが「無数のドローンを協調して操るシステム開発」を呼びかける

武器を装備した軍用ドローンのイメージ
武器を装備した軍用ドローンのイメージ / Credit:Canva

軍用ドローンは、今まさに戦争で利用されています。

最近では、ウクライナ軍のドローンが、ロシア兵に向けて爆弾を投下する動画が話題になりました。

この動画ではドローン1機が操作されているだけですが、複数の自律型ドローンを用いた作戦も研究・実行されています。

こうした中で、戦場では「対ドローン戦術」の必要も生じており、数々の「ドローン迎撃システム」が誕生してきました。

例えば、下記の動画のような「移動式ドローン迎撃車」なども開発されました。

ドローンを用いた戦争は、今後さらに激化すると考えられます。

こうした中で、アメリカ国防高等研究計画局(DARPA)は新たな一手を打ち出しました。

2022年11月28日に、軍用ドローンプロジェクト「AMASS:Autonomous Multi-Domain Adaptive Swarms-of-Swarms」に関して、あるシステムを開発するよう業界に求めたのです。

情報を共有し、敵国の迎撃システムをかいくぐるAIシステムが必要
情報を共有し、敵国の迎撃システムをかいくぐるAIシステムが必要 / Credit:Canva

その機関発表(HR001123S0010)によると、DARPAが求めているのは、自律型ドローンの群れを敵の「接近阻止・領域拒否(A2/AD:anti-access/area denial)」戦略から保護するシステムです。

このA2/ADとは、敵の接近や行動を阻害する軍事戦略のことです。

自律型ドローンの群れを敵国にただ飛ばすだけでは、ドローン迎撃システムによって打ち落とされて終わります。

DARPAは、AIを用いて複数の自律型ドローンを指揮し、敵国の迎撃システムをかいくぐりながら運用できるシステムの開発を目指しているのです。

自立型ドローン軍隊における連携システムの開発が求められる
自立型ドローン軍隊における連携システムの開発が求められる / Credit:Canva

しかもこのプロジェクトでは、空、地上、水中で活躍する数千の自律型ドローンが、様々な武器、レーダー、ジャマーを装備し、制御システムのもとで連携を取りながら作戦を実行することを想定しています。

無数の小型兵器が、自律的に通信し、情報交換し、行動の調整を行えるシステムを開発しようというのです。

そしてDARPAは2023年2月10日を期限とし、この開発を請け負う業者を募集しました。

契約を結ぶ業者には、総額7800万ドル(約100億円)が提供される予定です。

もし、このプロジェクトが順調に進むなら、アメリカは迎撃システムを物ともしない「軍隊として動く大量自律型兵器」を手に入れることになります。

それは、世界中で運用されている既存のドローン戦略を凌駕するものとなるかもしれません。

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