中性子星の衝突で「史上最小のブラックホール」が生成された可能性がある

space 2018/06/06
Credit: ESO/L. Calçada/M. Kornmesser
Point
・史上初めて「中性子星どうしの衝突」により重力波が観測される
・衝突、融合の結果「最小のブラックホール」か「最大の中性子星」になる可能性がある
・数年後の観測でどちらであるかが明らかになる予定

2017年8月に、史上初めて中性子星どうしの衝突が重力波により検出されましたが、この衝突によって「史上最小のブラックホール」ができた可能性があります。

GW170817 Most Likely Made a Black Hole
http://iopscience.iop.org/article/10.3847/2041-8213/aac3d6

高質量の混ざり合いによって生み出される重力波は、実際に天体の衝突が起こる前から放出されています。そのため、2017年8月に中性子星どうしの衝突「GW170817」から重力波の信号が届いたとき、世界中のすべての利用可能な望遠鏡が「1億3千万光年先で何が起きているのか」を観察しようとその方向へ向けられました。

その1つが地球の軌道にある、NASAのチャンドラX線観測衛星です。チャンドラはこのイベントを捉えただけでなく、衝突後何ヶ月にも渡って「GW170817」を観察し、この新たに生み出された天体で引き起こされている複雑な力学を明らかにするためにX線データを集めています。

Credit:NASA / チャンドラX線観測衛星

星の核が融合して鉄になると、陽子と電子は凝集され中性子ニュートリノになります。ニュートリノは逃れますが、中性子はおよそ直径10kmから20kmの核に非常な高密度で詰め込まれます。もしこの核の質量が太陽の3倍よりも低ければ「中性子星」になり、もし核がもっと重ければ崩壊して「ブラックホール」になります。

「GW170817」において衝突した中性子星はとても小さく、太陽の1.1倍と1.6倍です。これらが組み合わされると、そこからできる天体は太陽の2.7倍になるでしょう。これは、3倍よりも少ないですが、ここが難しい点です。今まで観測された中性子は2.3倍より大きいものはありませんし、3.7倍から5倍より小さなブラックホールも観測されてません。なので、この2つの間の線引は未だ謎だとされているのです。

つまり、「GW170817」は「非常に大きな中性子星」あるいは「非常に小さなブラックホール」のいずれか両方に変化する可能性があるのです。そして現在、天文学者たちの意見は後者に傾いています。

X線のデータは「GW170817」がイベント後107日目にはすでに「ブラックホール」になっていることを示しています。というのも、もし「非常に大きな中性子星」になっているとすると、高速に回転を始め、非常に強い磁場を生み出し、とても明るいX線を放出する高いエネルギーを持った粒子の広がる泡を生み出すはずです。

もし「中性子星」が内部にあるのなら、それは数年で明らかになるでしょう。粒子の泡が減速する衝撃波に追いついて、X線を放出するからです。もし「ブラックホール」が内部にあれば、それは起こりません。光はさらに弱まるでしょう。いずれにせよX線データの解析は、さらなる観察の出発点となります。そして、結果がどちらであったとしても、この天体はブラックホールや中性子星に関する新たな情報をもたらしてくれることでしょう。

 

via: Science Alert/ translated & text by SENPAI

 

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