巨大ウィルスが他の生物には無い「独自の遺伝子」を生み出していたことが判明

biology 2018/06/14
Credit: IGS-CNRS/AMU
Point
・細菌ほどのサイズの巨大なウィルスが複数見つかっている
・巨大ウィルスはそのゲノムにおいても巨大
・巨大ウィルスのもつ遺伝子は他の生物が持つ遺伝子とは異なり、さらに巨大ウィルス間でも大きな違いがある

とても小さいイメージのウィルスですが、顕微鏡でも観察可能な巨大なウィルスがこれまでもいくつか見つかっています。しかし巨大ウィルスが特異なのは、その大きさだけではありませんでした。彼らはゲノムサイズもウィルスでは考えられないほど大きく、そこに含まれる遺伝子も独自なものであることが判明したのです。

また、独自遺伝子に遺伝子間領域で見られる痕跡が含まれていたことから、この独自の遺伝子が働いている遺伝子を変化させて作られたというよりも、非遺伝子領域で新しく作られたものと考えられます。

 

巨大ウィルスとは

巨大ウィルスとして最初に文献に記されているのは、2003年に見つかったミミウイルス科のウィルスです。このウィルスは最初見つかった時、その大きさから小型のグラム陽性菌と勘違いされたほど。多くのウィルスは数ナノメートルスケールの大きさなのですが、この「細菌もどき」はその何百倍も大きくマイクロメートル単位に達していたのです。

ミミウイルスの新種を見つけるために調査を続けた結果、研究者たちは第2のモンスターウィルスを見つけました。2種のパンドラウィルスの詳細が報告されたのは、2013年です。一つはチリのトゥンケン海岸の沈殿から、もう一つはオーストラリアのラトローブ大学側の池から採取されたアメーバから見つかりました。第3の発見は角膜炎と診断された女性のコンタクトレンズケースに生息していたアメーバからです。

ほとんどのウィルスは、多くの遺伝子を必要としていません。「宿主の遺伝子を拝借する」という方法で非常に効率化されているからです。しかし巨大ウィルスは、ミミウイルスもパンドラウィルスもその巨大さに見合ったサイズの独自ゲノムを持っています。最も大きなものが、パンドラウィルス・サリヌスの247万塩基対です。なぜ、他のウィルスが効率化で小さくなるのに反して、これらのウィルスは大きなゲノムを持つのでしょうか。

 

なぜ巨大ウィルスが独自の遺伝子を持ったのか?

その理由の一つは、彼らの持つ遺伝子の性質によります。というのも、これらのウィルスが他の生物と共有している遺伝子はたった7%しかないからです。このことはまた、これらのウィルスが他の生物とは異なった進化経路をたどったことを示しています。

そこで、この巨大ウィルスが持つ独自遺伝子を比較して調べたところ興味深いことがわかりました。この独自遺伝子は、他の生物と共有していないばかりでなく、巨大ウィルス間でも共有していなかったのです。さらに、独自遺伝子には遺伝子間領域の痕跡が見つかりました。

つまりこれらの遺伝子は、機能している遺伝子に変異が入ることで出来たと言うよりも、遺伝子間の機能を持たない配列内に起こる乱雑な変異をもとにして、新たに生み出されたということになります。

巨大なウィルスは、その大きさが規格外なだけでなく、進化においても他とは一線を画するものだったようです。

ただでさえ複雑怪奇で、コンピューターのようなウィルス。生命系譜のルーツからは外れているかもしれませんが、ウィルスについての知見は、様々なものの起源について示してくれるでしょう。

これクトゥルフじゃ? 「タコは地球外生命」説で33人の科学者が本気で論文発表

 

via: Science Alert/ translated & text by SENPAI

 

関連記事

毒をもって毒を制す。対食中毒の最終兵器「ファージ療法」

25年間ヘビの毒を趣味でキメてきた男、その体が血清の宝庫となってしまう

SHARE

TAG

biologyの関連記事

RELATED ARTICLE