人はなぜお化け屋敷に行くのか?自ら望んだ恐怖体験は気分改善の効果がある
人はなぜお化け屋敷に行くのか?自ら望んだ恐怖体験は気分改善の効果がある / Credit: Pixabay
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人はなぜお化け屋敷に行くのか?自ら望んだ恐怖体験は気分改善の効果がある

2023.08.22 Tuesday

2023.08.20 Sunday

読者の皆さんはお化け屋敷やジョットコースターは好きですか?

あえて怖い思いをしたくないと思う人もいるでしょうし、積極的にお化け屋敷などの恐怖や驚きを強く感じたいと考える人もいるはずです。

好きではない人の「恐怖を避けたい」という考えは簡単明白です。

しかし「なぜお化け屋敷やジェットコースターなどの恐怖体験を好む人がいるのか?」という問いに対して、科学者は疑問を持ち、心理的・神経的な観点から検討を行い、さまざまな仮説を述べてきました。

アメリカのピッツバーグ大学のマージー・カー氏(Margee Kerr)らの研究チームは、お化け屋敷を体験した後には、気分が改善し、脳の活動が落ち着くことを報告しています

研究チームはこの現象を「自発的ネガティブ体験」と呼び、自分の意志で選んだ恐怖体験は気分を改善するなどの精神的なメリットがあるのだと述べています。

研究の詳細は、学術誌「Emotion」にて2019年6月19日に掲載されました。

Why Do People Like to Be Scared? https://www.psychologytoday.com/us/blog/media-spotlight/201906/why-do-people-be-scared The Science of a Good Scare https://www.discovermagazine.com/mind/the-science-of-a-good-scare
Voluntary arousing negative experiences (VANE): Why we like to be scared https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30307264/

恐怖体験の前後で心理的・神経的な反応を測定した

アメリカのピッツバーグ大学のマージー氏らの研究チームは、恐怖体験の前後で心理状態と波を記録し、恐怖体験が精神・神経的にどのようなメリットをもたらすのかを検討しています。

実験の対象になったのは、ピッツバーグで最も怖いと有名な「ScareHouse Basement」というお化け屋敷のチケットの購入者262名でした。

実験参加者は、お化け屋敷に入る前後で心理状態を尋ねる質問紙の回答とEEGによる脳波の測定を行ってもらいました。

質問紙では、「楽しさ」や「苛立ち」などの現在の気分を尋ねるものでした。

EEGによる脳波の測定では、①ランダムで大音量の驚愕音が流れる中で、持続的な注意を向ける課題と、②血の付いたナイフなどの高い覚醒を引き起こすような写真を見るなどの課題中の脳の活動を記録しています。

さて、お化け屋敷を体験する前後で心理的・神経的な反応に違いがあったのでしょうか。

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